指を曲げると第二関節が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?メディカルドック監修医が解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「指を曲げると第二関節が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
塚原 聡(医師)
北里大学医学部卒業。弘前大学医学部整形外科で臨床研修し、東京大学医科学研究所でゲノム医科学の研究に従事。その後、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター助手、准講師を歴任。2009年から湘南第一病院整形外科部長。2013年、同副院長に昇格。2019年、地域サービス部門担当役員に就任。日本専門医機構認定整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医、プライマリケア連合学会認定医・指導医。医学博士。
「指を曲げると第二関節が痛い」症状で考えられる病気と対処法
力をいれたときや、冷えた時に指の関節に痛みを感じることがあります。日常でよく使うために負荷がかかっていたり、リウマチなど自己免疫異常の病気と関連したりすることがあります。どんな場合に病院を受診する必要があるのか解説していきます。
指を曲げると第二関節が痛い症状で考えられる原因と対処法
指を動かすとき、または安静にしているときでも痛いことがあります。指を曲げて伸ばそうとすると、その指だけひっかかって伸ばせなくなることがあります。そのようなときには関節や腱鞘の局所的な炎症が疑われます。指が外側に曲がっている、あるいはぐらぐらしていて、以前に突き指をした、あるいはスポーツでケガをしたことがある場合には、剥離骨折や靭帯損傷が疑われます。
指の付け根の掌側が痛い時、あるいは第二関節が曲がって伸ばせなくなったときには、「ばね指」いわゆる腱鞘炎が疑われます。関節が腫れたとき、それは関節に限局した炎症があり経年的変化で起こる「ブシャール結節」など変形性手指関節症や、自己免疫異常で起こる「関節リウマチ」、乾癬性関節炎などの「膠原病」などが疑われます。ぶつかったり挟んだりエネルギーが加わったときには皮下出血がみられ、「PIP関節脱臼骨折」などの骨折や、「PIP関節側副靱帯損傷」などの靭帯損傷が疑われます。
すぐに症状を落ち着かせるには、痛みだけで腫れているときは、炎症が強いのでタオルに包んだアイスノンや氷水で冷やしましょう。痛みが強くなる時には一旦中止しましょう。市販のテーピング素材でテーピングしてもいいでしょう。ただし、指の周りを1周するようにテーピングするときには、指先が青白くうっ血しないよう丁寧に行いましょう。
数日経過しても症状が改善しない場合には整形外科、リウマチ膠原病内科、形成外科を受診しましょう。特に健診を受けていない方は意識して受診を。もともと免疫異常の病気で治療している、あるいは湿疹などがあり皮膚科で治療をしているときには整形外科、形成外科、皮膚科あるいはかかりつけ医を受診しましょう。
第二関節が一本だけ痛い症状で考えられる原因と対処法
親指の第二関節だけが痛い場合
親指は、他の指と違い、第一関節しかありません。曲げることよりも、伸ばしてつまんだり握ったり、押したりする機能を持っていることが特徴で、付け根の関節(MP関節やCM関節)障害や腱鞘炎に連動して第一関節が痛くなることがあります。また端にある特性から、けがをしやすく、靭帯損傷に伴って痛い場合があります。テーピングをして、つまむ動作や押す動作、握る動作を少なくするように意識しましょう。
人差し指の第二関節だけが痛い場合
人差し指は、第二関節を伸ばして押すこと、あるいは鍵や紙をつまむこと、その他に曲げて握る機能を持っていることが特徴です。よく使う指なので、オーバーユースで第二関節が痛くなったり、付け根の関節(MP関節)障害や腱鞘炎に連動して痛くなったり、ブシャール結節が発症して痛くなったりすることがあります。また関節リウマチなどの炎症性疾患で痛くなることもあります。テーピングをして、つまむ動作や押す動作、握る動作を少なくするように意識しましょう。
中指の第二関節だけが痛い場合
中指も、人差し指と同様の機能を持つため、同じ病態が考えられます。
薬指の第二関節だけが痛い場合
薬指は、第二関節を曲げて握る機能を持っていることが特徴です。他の指と同様に、オーバーユースやブシャール結節などで痛くなったりすることがあります。また関節リウマチなどの炎症性疾患で痛くなることもあります。テーピングをして握る動作を少なくするように意識しましょう。
小指の第二関節だけが痛い場合
小指は、薬指と同じ様に第二関節を曲げて握る機能を持っていることが特徴です。他の指と同様、オーバーユースやブシャール結節などで痛くなったりすることがあります。また関節リウマチなどの炎症性疾患で痛くなることもあります。また親指と等しく端にある特性から、けがをしやすく、靭帯損傷に伴って痛い場合があります。テーピングをして、つまむ動作や押す動作、握る動作を少なくするように意識しましょう。
妊婦で指を曲げると第二関節が痛い症状で考えられる原因と対処法
妊婦であれば、指の痛みだけでなく、指のしびれ、手のひら全体に拡がる痛みやしびれを伴うこともあります。また手のひら側に手首を曲げ続けると、しびれや痛みが強くなることがあります。
このような場合、女性ホルモンバランスの変化によって発症する手根管症候群、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどが考えられます。
すぐに症状を落ち着かせるには、手首を曲げる動作を減らし、安静を保ちましょう。
安全な妊娠を支援することが優先されるため、緊急性は低いですが数日以上症状が続く時には、かかりつけの産婦人科、近くの整形外科、形成外科、リウマチ膠原病内科などへの受診を考えましょう。
指を曲げると第二関節が痛く、腫れている・むくんでいる症状で考えられる原因と対処法
指がじんわりと痛くて、シワがなくなるぐらい腫れている状態を指します。
このような場合に考えられる原因には、ブシャール結節、関節炎、関節リウマチ、膠原病などがあります。また、指の使いすぎ、ウイルス感染(インフルエンザなど)による関節痛、自己免疫異常による原因も疑われます。
すぐに症状を落ち着かせるためには、茶碗洗いのようなつまむ動作や雑巾を絞るような握る動作を意識して少なくして、指の安静を保ちましょう。携帯電話を持ち上げずに机に置いてフリックを使いましょう。テーピングも有効です。最初に指の側面に沿ってアルファベットの『I』、次に関節をクロスするように『X』のように貼り、最後に適度な緊張で指を1周します。ただしむくみが強いときには、うっ血しないよう慎重に行いましょう。
緊急性は低いですが数日以上症状が続く時には、近くの整形外科、形成外科、リウマチ膠原病内科などへの受診を考えましょう。
朝、指を曲げると第二関節が痛く症状で考えられる原因と対処法
起きてしばらくするまで手や指がこわばるようになり、指の関節がじんわりと痛くて、突き指をしたように腫れることもあります。指だけでなく、肘の近くや肩周りがしびれたり、首の後ろが痛くなったりすることがあります。
このような場合に考えられる原因は、関節リウマチ、ブシャール結節、頚椎症性神経根症、指の使いすぎ、自己免疫異常によるものなどが疑われます。
すぐに症状を落ち着かせるためには、長い時間机で作業したり、重いものを持ち上げたりすることを減らしましょう。茶碗洗いのようなつまむ動作や雑巾を絞るような握る動作を意識して少なくして、指の安静を保ちましょう。携帯電話を持ち上げずに机に置いてフリックを使いましょう。テーピングも有効です。最初に指の側面に沿ってアルファベットの『I』、次に関節をクロスするように『X』のように貼り、最後に適度な緊張で指を1周します。指の周りを1周するときには、うっ血しないよう慎重に行いましょう。
緊急性は低いですが数日以上症状が続く時には、近くの整形外科、形成外科、リウマチ膠原病内科などへの受診を考えましょう。書字がしにくい、茶碗を落としてしまうなど、手に力が入りにくいなどの症状が出ているときには、速やかに整形外科、脳神経外科を受診しましょう。
中指の第二関節を曲げると痛い症状で考えられる原因と対処法
指を曲げて伸ばそうとすると、その指だけひっかかって伸ばせなくなることがあります。関節や腱鞘の局所的な炎症が疑われます。
指の付け根の掌側が痛い時、あるいは第二関節が曲がって伸ばせなくなったときには、「ばね指」いわゆる腱鞘炎が疑われます。関節が腫れたとき、それは関節に限局した炎症があり経年的変化で起こる「ブシャール結節」など変形性手指関節症や、自己免疫異常で起こる「関節リウマチ」、乾癬性関節炎などの「膠原病」などが疑われます。なお、スポーツでは、小指や親指など端の指をケガしやすいです。スポーツ外傷では、中指だけをケガすることが少ないことが特徴のひとつです。
すぐに症状を落ち着かせるためには、痛みだけでなく腫れているときは、炎症が強いのでタオルに包んだアイスノンや氷水で冷やしましょう。痛みが強くなる時には一旦中止しましょう。市販のテーピング素材でテーピングしてもいいでしょう。ただし、指の周りを1周するようにテーピングするときには、指先が青白くうっ血しないよう丁寧に行いましょう。
緊急性は低いですが数日以上症状が続く時には、近くの整形外科、形成外科、リウマチ膠原病内科などへの受診を考えましょう。
すぐに病院へ行くべき「指を曲げると第二関節が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
指を曲げると第二関節が痛くて、しびれ、力が入りにくい症状の場合は、整形外科へ
起きた時に指が痛くて、しびれていたり、指だけではなく、肘の近くや肩周りがしびれたり、首の後ろが痛くなったりすることがあります。書字がしにくい、茶碗を落としてしまうなど、手に力が入りにくいなどの症状が出ると要注意です。このような場合は、頚椎症性神経根症などが考えられます。安静にして速やかに整形外科、脳神経外科を受診しましょう。

