
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。
今回は、『付き合って0日で結婚を決めた2人の話 』(KADOKAWA刊)で話題の作者えむふじんさんによる漫画『夫婦レベル1親レベル0』を紹介する。9月10日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、いいねやコメントなど多数の反応が寄せられた。本記事では、えむふじんさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■新しい家族と始まる小さな日常

昨日、私と夫は、新しい家族を迎えるために車を納車した。ようやく準備が整い、今日はいよいよ退院の日を迎える。
出産を終えた私を迎えに来た夫しは、忘れずに退院用の服を持ってきてくれた。慣れない手つきで荷物をまとめながらも、少し照れくさそうに「泣くのが仕事だもんな」と笑うその姿に、父親としての頼もしさが見えた。
赤ちゃんを腕に抱き、昨日納車されたばかりの車に乗り込む。小さな泣き声が車内に響く中、私は母としての責任と喜びを胸に感じる。
こうして、私たち家族3人の新しい日常が静かに始まった――。
この漫画を読んだ人たちからは、「私も、こんな夫婦になりたかった、こんな人生を送りたかった、と感じさせる物語」「思わず顔がニヤけて笑い声が出てしまう」「旦那さんすごく賢くて聡明でとってもいい人だなあ」「これからも幸せでいてほしいです!」など、多くのコメントが寄せられている。
■時間や経験を重ねて夫婦になっていく姿を描きたい

――この作品を漫画化しようと思った瞬間、最初に頭に浮かんだ「伝えたいこと」は何でしたか?
結婚したからといって夫婦になれるわけではなく、時間や経験を重ねて、だんだんとその形になっていくんじゃないかなって。その部分を描きたいと思いました。
それは当たり前のことかもしれませんが、私は「結婚したら夫婦っぽくなるのかな」と思っていたんだと思います。
でも、そうじゃないんだなということを、生活を通して感じました。
――ご自身の出産や育児の経験を描くにあたり、「リアル」と「読者への伝わりやすさ」のバランスはどのように意識されていますか?
読者さんに伝わるよう、リアルに描こうと思っていました。
ただ、それは単に起こった出来事を写実的に描くことではなく、極力「感覚」やそのエッセンスを中心に描くことで、リアルを感じてもらおうと思っていました。
そしてそれこそが、読者さんへの伝わりやすさにも繋がるのではないかと考えています。
例えば、同じ時間に経験したことでも、時間が遅く感じた瞬間は長く描き、短く感じた瞬間は短く描く、ということを意識しています。
私はそうやって、いろんな要素をデフォルメして描いています。「デフォルメがリアル」というのは少し変かもしれませんが、それが一番伝わる気がするんです。
つまり、「伝わりやすさ」とは手段であり、その手段によって読者さんと感覚のエッセンスを共有できたと感じたとき、はじめて「リアルに描けた」と思えるんです。
――「泣くのが赤ちゃんの仕事」というセリフは多くの親に響く言葉だと思います。どんな思いで描かれましたか?
入院生活で赤ちゃんと一緒にいられなかった主人が、一番嬉しかったこととして挙げたのが、子どもを家に連れて帰ることでした。
彼にとって、車で安全に家へ連れて帰ることが「父親としての最初の仕事」だったんです。
それに対して、赤ちゃんの息子は「泣く」ことで反応を返してくれました。赤ちゃんは言葉を話せない代わりに泣きます。不快なのか、不安なのかは分かりませんが、何かを発してくれています。
運転中に赤ちゃんが泣いただけなのに、「コミュニケーションが取れた気がした」と主人は言っていました。なので、そのシーンでも「泣いてくれたことが嬉しかった」「楽しい気分になれた」という思いを描きました。
運転中で息子の顔は見えないけれど、そういう思いでいるんだよ、という気持ちが伝わればいいなと思って描きました。
―― この漫画を描くことで、当時の自分の気持ちを再確認した瞬間はありましたか?
特定のことというよりは、毎話ごとに再確認をしていました。
描いている間はずっと当時を追体験していたと思います。
妊娠・出産で不安だったこと、優しさを感じたこと、辛かったこと、励まされたこと、嬉しかったこと――一つひとつ確認していったと思います。
描くのは時間がかかるし、辛いなと思うこともありますが、この「自分の気持ちを再確認する作業」は、過去に戻ったようでとても楽しかったです。
―― 今後、この作品をどのような読者に届けたいと考えていますか?
結婚や出産に興味がある・ないに関わらず、大人も子どもも含めて、幅広い読者さんに届けたいと思っています。
時々「結婚に興味がなかったけど、読んでいるうちに結婚したくなった」とか、「当時のことを思い出した」というような反応をいただくことがあります。
そうやってコメントをいただく瞬間、「ああ、伝わったのかな」と嬉しくなります。
その言葉をいただけることが、本当に嬉しいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
今後も、楽しく読めるマンガを毎日リリースしていきたいと思っています。読者さんも毎日読んでくださると嬉しいです!
インタビューを読んでくださって、ありがとうございました。

