子どもの体温って高いから、病気かそうでないかの区別が付けにくい・・・どこを見て確認すればいいんだろう?そんな疑問について、今回はなかざわ腎泌尿器科クリニック院長、中澤佑介先生にお答えいただきました。

はじめに
赤ちゃんや子どもの体温は大人より少し高めで、しかも一日の中で上下する「体温リズム(概日リズム)」があります。朝は低く、夕方~夜にかけて高くなるのがふつう。まずは「うちの子の平熱」と「時間帯によるブレ」を知ることが、発熱や体調不良に慌てない第一歩です。日常でできる工夫と、受診の目安をわかりやすくまとめました。
平熱の目安と体温リズム
平熱は個人差が大きく、体温は0.3~0.5℃程度は日内で自然に上下します。毎日同じ時間・同じ測り方で数日測って「わが子のふだん」を把握しておくのがコツです。医学的には38.0℃以上(直腸温で)が発熱の基準として広く用いられます。リズムは未就学児でも基本は同じで、朝方に低く、夕方に高くなります。これは睡眠・覚醒の脳のリズムと結びついています。
家庭でできること
○検温は「食前か食間」「安静にしてから」「同じ部位・同じ機器」で行う
○数日分をメモして『うちの平熱帯(例:36.6~37.0℃)』を把握する
睡眠中の体温変化と快眠のコツ
眠りに入る前は深部体温がゆっくり下がると寝つきが良くなり、夜間はリズムに沿って変動します。就寝前の過度な運動や熱い風呂は寝つきを妨げることがあります。
今日からできる工夫
◎寝室は「涼しめ・静かめ・暗め」を基本に(過度な防寒や厚着は避ける)
◎就寝の1~2時間前の入浴(ぬるめ~適温)でいったん体を温める→放熱で体温が下がりやすくなる
◎年齢に合った睡眠時間を確保(例:1~2歳は11~14時間、3~5歳は10~13時間など)

発熱時の家庭ケアと「受診の目安」
まず見るのは体温『だけ』でなく「元気さ・水分・呼吸」です。
家庭でできること
○こまめに水分・塩分(経口補水液など)を。食欲がなくても水分は最優先に。
○薄着で涼しく、寒がるときは軽く掛けるなど快適な衣服に調整。
○解熱薬(アセトアミノフェンやイブプロフェン)は苦痛が強いときに使用(乳児や持病がある場合・用量は医療者の指示に従う)
受診の目安
・生後3か月未満で38.0℃以上はただちに受診
・年齢に関わらず、ぐったり・呼吸が苦しそう・水分がとれず尿が少ない・強い頭痛/発疹/繰り返す嘔吐などがあれば受診
・発熱が72時間以上続く、いったん下がって再び上がる場合も医療機関へ
・日本小児科学会のオンライン「こどもの救急」も、受診判断の参考になります
低体温(体の冷えが強いとき)への注意
35.0℃未満は医学的に低体温で、緊急の可能性があります。乳幼児は体温調節が未熟で、冬場や濡れた衣服、冷房の当たり過ぎなどで体が冷えすぎることがあります。強い震え、ぐったり、皮膚が冷たく赤い(乳児)などの症状があれば、温かい室内へ移動・濡れた服を脱がせる・毛布で包むなどの応急手当を行い、至急受診を。
季節ごとの体温調整ポイント
夏は熱中症予防を意識しましょう。
・日本の暑さ指数(WBGT)をチェックし、指数が高い日は外遊びや運動を見合わせる/短時間に
・帽子・日陰・こまめな水分が基本
冬は冷え・過度な保温の両方に注意しましょう。
・冬の寝室は「暖めすぎない」が大切。過度な保温は寝つきの妨げや、乳幼児ではリスクにつながる可能性があります
・掛けすぎ・着せすぎを避け、首元・お腹・背中の汗をこまめに確認する(厚着での過熱は避ける)
保護者が気づきたい「体温サイン」
いつもと違う熱の出方(夕方に向けた自然な上昇を大きく外れる、急に高くなるなど)や、熱とともに悪化する様子(呼吸が速い・苦しそう、顔色不良、ぐったり、水分がとれず尿が減る)、解熱後の再上昇や長引く発熱などがあった場合は要注意です。かかりつけの医師に相談しましょう。
まとめ:「平熱を知る」「リズムを味方に」「迷ったら相談」
1.わが子の平熱帯+日内変動を記録しておく
2.快眠のために涼しめの寝室、就寝前の穏やかなルーティンを整える
3.発熱時は体温よりも全身状態を重視し、受診のサインを逃さない
4.季節に応じて暑さ指数や保温を賢く調整する
普段からお子さんの様子をしっかりと確認しておくことが大切です。
※本記事は日常ケアの一般情報です。持病がある、月齢が低い、生後3か月未満で38.0℃以上、症状が強い/長引く場合は、ためらわず医療機関に相談してください。
参考・出典
・Clinical Methods: Temperature—日内変動と平熱の幅について(米国国立医学図書館)
・Temperature measurement in paediatrics—38.0℃以上を発熱の目安とする国際的な位置づけ
・American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org)—小児の発熱時の受診目安
・Boston Children’s Hospital—発熱が長引く/ぶり返す際の受診目安
・Frontiers in Neuroscience, 2019/PMC review 2022—体温と睡眠の関係
・厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023』—こどもの推奨睡眠時間
・環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数WBGT)—日常生活の指針
・Mayo Clinic—低体温(35℃未満)の定義と応急手当
・日本小児科学会「こどもの救急」—受診判断の参考ツール
(注)上記は一般的な参考情報であり、最新の情報は各公式サイト・ガイドラインをご確認ください。
※記事作成時に、一部生成AIを使用しています。
執筆者

中澤佑介
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長
[プロフィール]
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医、
2003年 京都府洛南高等学校 卒業
2012年 金沢医科大学 医学部医学科 卒業
2012年 金沢医科大学 氷見市民病院 初期臨床研修医
2014年 金沢医科大学 泌尿器科学 助教
2019年 金沢医科大学 大学院 博士課程修了
2021年 誠美会 池田クリニック(非常勤)
2021年 なかざわ腎泌尿器科クリニック 院長
2023年6月 JR金沢駅前にメンズヘルスクリニック(Gran Clinic)を開院。
2024年10月 JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開院。
※Gran Clinicは自由診療部門Granとして併設
患者さんに近い立場で専門的治療を提供したいという想いから、クリニックを開設。男性だでけなく、女性にも身近な泌尿器科クリニックを目指しています。

