【闘病】「信じられない…」 ステージ4『鼻副鼻腔がん』で一生“ニオイ”を失う

【闘病】「信じられない…」 ステージ4『鼻副鼻腔がん』で一生“ニオイ”を失う

長引く副鼻腔炎と鼻血に悩まされながらも、アレルギーなどが原因と診断されていた森さん。やがて嗅覚障害という重大な異変を覚え、精密検査を受けた結果、悪性腫瘍(鼻腔がん)と判明します。がんが脳の近くまで浸潤していたため、脳外科手術も組み合わせた10時間以上におよぶ大手術に。一生涯においが分からなくなるという現実と向き合いながら、壮絶な術後の痛みを乗り越えました。「がんです」という告知を他人事のように感じたという森さんの、過酷な闘病の道のりを紹介します。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年12月取材。

森綾子さん

体験者プロフィール:
森 綾子

神奈川県横須賀市在住、1986年生まれ。診断時はパートをしていたが、現在は家事や育児をしながらゆっくりと過ごしている。2024年6月に鼻副鼻腔がんと判明し、7月にCT、MRI、PET-CT、リンパ節エコーなどの検査をおこない、8月にがん摘出手術を受ける。がんを取り除き追加の化学療法はおこなわず、飲み薬を服用しながら通院中。

小柏 靖直

記事監修医師:
小柏 靖直(上福岡総合病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

症状を軽視せず早めに受診することが大切

症状を軽視せず早めに受診することが大切

編集部

病気が判明した経緯やきっかけについて教えてください。

森さん

2023年の春頃から副鼻腔炎を繰り返し、近所の耳鼻科に通っていました。鼻詰まりなどはそこまでつらくなかったのですが、その年の夏頃から鼻血がたびたび出るようになりました。洗顔時や、鼻をかむと血が混じるようになりました。ほぼ毎日出血していましたね。自分なりに調べると「長引く鼻血は要注意」とあったので少し怖くなり、かかりつけ医の先生に話したのですが、アレルギーやカビが原因のこともあるという説明で、検査はしてもらえませんでした。

編集部

それ以外の症状はありましたか?

森さん

2024年の春頃から家族が感じるにおいが私には鈍く感じられるようになり、食べ物の味もよく分からなくなりました。猫のトイレのにおいも分からず、パンを焦がしても気づきませんでした。これはおかしいと思い、耳鼻科の先生に強く訴えてやっと検査をすることになりました。鼻の内視鏡で内部を見たところ、右側にポリープのようなものがありそうだとのことで、レントゲンを撮りました。白い影があったので、総合病院でCTを取るため紹介状を書いてもらいました。においが分からない原因も、おそらくこのポリープが匂いを感じる神経を圧迫しているからだろうという見解でした。

編集部

その後はどうなりましたか?

森さん

総合病院でのCTの結果もポリープがあるかもとのことでした。内視鏡でもポリープのような物が見えたので、念のため一部組織を取って病理検査に出しました。その結果、悪性腫瘍だということが分かり、すぐに市外の大学病院に転院することになりました。

編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

森さん

ポリープを取り除くかを決める気持ちで来院したので、主治医の先生に「がんです」と言われたときは、他人事のように感じました。何かの間違いではないかとも思い、本当にがんなのか聞き直しました。「信じられない」というのが正直な気持ちだったと思います。

10時間以上の手術と術後の痛み

10時間以上の手術と術後の痛み

編集部

実際にどのような治療をされましたか?

森さん

私の場合は化学療法よりも手術で取り除くのがよいとのことでした。がんが脳の近くまで浸潤していて、鼻からだけではなく脳外科手術も組み合わせての手術となりました。術前検査としては、数回のCT、MRI、血液検査、他臓器への転移がないか調べるPET-CT検査、リンパ節への転移がないかを調べるエコーなどです。幸い、転移などはありませんでした。

編集部

医師から説明を受けたときの印象はどうでしたか?

森さん

手術はできるのか、転移はないかなどを聞くため、診察室に入ったときは怖すぎて夫婦で震えていました。入った瞬間は医療ドラマで見るような感じでお医者さんがずらっと並んでいて、もうダメかもと思いました。手術は10時間以上かかること、嗅神経ごと取り除くため、一生涯においが分からなくなる(嗅覚脱失)ことやリスクなどの説明を受けました。ふわふわしていて半分以上は頭に入らなかったと思います。

編集部

手術前後の様子をお聞かせください。

森さん

手術当日は心細くて涙が出ました。コロナが再流行していたこともあり、家族にも面会できませんでした。麻酔から目覚めるとバットで頭を殴られたくらいの痛みに加え、吐き気と背中から腰にかけても激痛がありました。その日は鼻に詰め物をしているので口呼吸しかできず、喉が渇いても水が飲めなくて本当につらかったです。その痛みは3日間くらい続きました。また術後2日目に、目がパンパンに腫れて物が二重に見えるようになってしまいました。原因は脳外科手術の影響かもしれないとのことでした。

編集部

術後の痛みや症状が大変だったのですね。退院まではいかがでしたか?

森さん

術後4~5日目から少しずつ痛みが落ち着いて頭も動かせるようになり、普通食も食べられるようになりました。ほとんど味が分からないのですが、最初に出たビーフシチューが本当においしかったのを覚えています。

※この記事はメディカルドックにて《【闘病】”たかが鼻血”はステージ4『鼻副鼻腔がん』だった 嗅覚失い「もっと検査が早ければ…」(》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。


(後編)【闘病】嗅覚を失うという悲しさ

配信元: Medical DOC

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