●「迷っている」世帯もスキーや外遊びが制限される懸念
帰省を「まだ迷っている」と答えたのは、残りの5世帯。そのうち3世帯が「クマ被害が判断に影響している」とした。
「秋田市に住む両親と小学生の子どもを会わせる貴重な機会だが、いつも冬に帰ってスキーに行っているのでスキー場にもクマが出る可能性があり、帰省したとしても何もできない可能性があり、迷っている」〈東京の40代男性〉
「千秋公園やスーパーなど実家近くで目撃情報があり怖い」「秋田の方たちが安心して住めるよう、出身者が安心して帰省できるようにどうにかしてほしい」〈同男性〉
回答者の多くが未就学児や小学生の子どもをもつ親世代であり、「子どもとの外遊び」が帰省の目的のひとつであることから、クマの出没が大きな心理的ブレーキになっているようだ。
帰省をするかしないかにかかわらず、「クマの被害がその判断に影響する」と答えたのは21世帯のうち7世帯だった。
クマの存在は「帰省を中止する」ほどの決定的な要因にはなっていないものの、判断において無視できない懸念材料になっているといえるかもしれない。

●実家の家族や友人を案じる声「病院では外傷患者が」「親を呼び寄せたい」
帰省への影響とは別に、ほとんどの人が秋田に残る家族や友人を心配していた。いくつかの声を紹介する。(すべて秋田市出身の男女)
「父からは『夜間の外出は避けている』『犬の散歩は中止』『買物は車で行く』と聞いています」
「市街地でも目撃情報があるくらいなので、『不安があるのなら帰省を延期してはどうか』と母親から言ってもらっている」
「姪の通う中学では、ほぼ毎日親への引き渡し下校になり、送り迎えが必要になった。部活動は、中止になることが多い。妹の勤務先の大学病院では、熊による外傷患者が増えて対応に追われている。家族は朝早くや暗くなってからの外出を控えるようになった」
「妹の子ども(中学生)の送り迎えが必須になった。前日に柿を採っていた家のすぐ近くにクマがいる写真、動画が共有され、妹の家族および近隣住人も警戒をしている話を聞いた」
「ゴミ出しや集積場所の見直し、クマ対策用の堅牢なゴミ箱の設置補助などを検討してほしい」
「何かできればと思うけれど、何をしたらよいのか分からず心苦しい。親を東京に呼び寄せたい気持ちもあるが、親の気持ちも尊重したい。ボランティアなどあるなら参加したいです」

