タブー視せず大胆に回答する胆力
作家でスポーツライターの乙武洋匡さん(49歳)が、X(旧ツイッター)でのユーザーからの批判的な投稿に対して、自身の先天性四肢欠損に自虐的に触れる「大胆返信」を行い注目を集めました。この返信は2.3万件以上の「いいね」を獲得し、多くのユーザーからその機知に富んだ姿勢に称賛の声が寄せられています。
話題となったのは、11月2日深夜に乙武さんがポストした、とあるX投稿に対する返信です。あるユーザーから乙武さんに向けられた「障害者のフリをするな。」と批判的なニュアンスを含む投稿を引用する形で、乙武さんは「たった両手両足がないだけなのに、障害者のフリをして申し訳ございません。」と返しました。障害をタブー視せず、相手の“悪意”にユーモアを交えて応えたこの投稿は、半日ほどで252万回以上表示されるなど関心を呼んでいます。
乙武さんは著書「五体不満足」で知られ、自身の障害をオープンにすることで社会的な議論を呼び起こしてきました。この返信は、障害を“ネタ”にしつつもウイットで返すという、乙武さんならではのスタイルを象徴しているとも言えます。
この返信に対するユーザーの反応はおおむね肯定的で、「返しが最強!」など乙武さんのユーモアと精神的な強さを称賛する声が目立ちました。「いっつも返す刀が鋭すぎるんよwww」「手も足も出ない返答お見事です」など、乙武さんの自虐をさらに逆手に取ったコメントや、また別のユーザーは「乙武さんは心がバリアフリーだからなあ」と、その精神的な強さに率直な感嘆を表しました。
さらに「障害者には見えないほどイキイキして見えるってことじゃないかな」と、乙武さんの積極的な生き方をポジティブに捉える意見も見られます。一方で、「笑ってるから許してるわけでも、笑ってるから傷付かないわけでもないんですよね」といった、笑いの裏側にある配慮の必要性を指摘する声もあり、軽やかでありながらも深い議論が展開されています。
乙武さんはこれまでも、自身の障害をネタにした自虐的な発言をSNSや公の場で展開し、注目を集めてきました。
SNS上でユーザーから「指紋あるんですか?」と質問された際には、両手両足がないことを「ないです! 完全犯罪 足もつかない」と返し当時話題となりました。また、政治家への出馬が取り沙汰された時期に、当時存在した政党「たちあがれ日本」にちなんだ質問に対して「立ち上がる足がない(>_<)」と返答したエピソードも。これらは、自身の障害と日本語を掛け合わせた機知に富んだ対応として、たびたび評価されています。
さらに、毎年のハロウィーンでは自身の身体的特徴を生かし「等身の低いキャラクター」のコスプレをするなど、障害に対する固定観念を揺さぶるような挑戦的なユーモアを披露しています。
乙武さんのこれらの自虐的な発言は、障害をタブー視せずユーモアで社会の偏見に対峙する姿勢の表れです。今回の「大胆返信」は、この一貫したスタイルが、再び大きな共感を呼んだ形と言えそうです。
(LASISA編集部)

