がんと聞くと、「怖い」「治りにくい」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、部位によっては早期に発見しやすく、治療法の進歩により生存率が高いがんも確かに存在します。この記事では、がんの生存率が高いとはどういことか解説します。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
がんの生存率が高いとはどういうことか?
5年生存率の意味と早期がんの特性
「がんの生存率が高い」とは、一般的にがんと診断されてから5年後にも生存している人の割合が高いことを指します。この「5年生存率」は、治療の効果、がんの進行の速さ、再発のしやすさ、早期発見の可能性などが複合的に影響する指標です。たとえば、あるがんの5年生存率が90%という場合、100人中90人が5年後にも生存しているということになります。特に早期がん(ステージIやII)で発見された場合には、根治的治療(完全に治せる治療)が可能なことも多く、生存率が格段に上がる傾向があります。つまり、生存率が高いがんは、以下のような特徴を持っていることが多いです:
・初期段階で症状が現れやすく、検診や健診で発見されやすい
・進行が遅いため、発見後の治療猶予がある
・有効な治療法が確立されている
・再発率が比較的低く、治療後の経過が良好である
「治るがん」と呼ばれる理由とは
一部のがんは、「治るがん」と呼ばれることもあります。これは、早期発見と適切な治療によって長期生存や完治が期待できることを意味します。たとえば、甲状腺がんや前立腺がん、乳がんなどは、早い段階で治療を行えば治癒率が非常に高く、再発のリスクも比較的低いため、「治るがん」として知られています。ただし注意が必要なのは、「生存率が高い=誰でも安心」というわけではないということ。同じがんでも、進行度や年齢、合併症の有無、治療法への反応などによって予後は大きく異なります。つまり、生存率の高さは「希望」ではあっても、「油断」にはつながるべきではないのです。
まとめ
がんと聞くと、命に関わる深刻な病気というイメージが強いかもしれません。しかし、医療技術の進歩や検診の普及によって、部位によっては「治るがん」も確実に増えてきています。特に、甲状腺がん・前立腺がん・乳がん・子宮頸がんなどは、早期に発見され、適切な治療を受ければ5年生存率が90%を超えることも珍しくありません。とはいえ、「生存率が高い=油断してよい」わけではありません。 再発のリスクや生活習慣の影響、経過観察の大切さなど、治療後の過ごし方こそが“安心”の鍵を握ります。がんは「怖い」だけでなく、「知れば選べる、備えられる」病気でもあります。正しい知識と行動が、命を支える力になる──それがこの記事を通じてお伝えしたかったことです。
参考文献
最新がん統計|国立がん研究センター
がん検診の目的と効果|日本対がん協会
一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について|厚生労働省

