
横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第42回「招かれざる客」が11月2日に放送された。地本問屋に加えて書物問屋も始めた蔦重(横浜)。店の立て直しに奔走する中、いつものように歌麿(染谷将太)に協力を求めたが、歌麿は悲壮な決断を下すことになった。(以下、ネタバレを含みます)
■数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く
森下佳子氏が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く痛快エンターテイメントドラマ。
蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎の一つといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。
美人画が大評判となる喜多川歌麿役で染谷将太、蔦重の妻・てい役で橋本愛らが出演。語りを綾瀬はるかが務める。
■蔦重の“抱え”絵師である歌麿のもとに客がやって来る
ていが考えた書物が完成し、書物問屋としての一歩も踏み出した蔦重。新作の黄表紙、狂歌集、書物、歌麿の錦絵と華やかな品ぞろえで、店はにぎわいを取り戻していった。
なかでも歌麿が描いた市中の店や吉原芸者の看板娘3人を描いた美人画は評判を呼び、蔦重の元には商人たちから自分のところの娘も描いてほしいという依頼が殺到。歌麿は注文をこなしきれないと渋るが、蔦重は弟子に描かせて仕上げだけすればいいと言う。一点一点の絵に心を込めたい、本屋にもちゃんと向き合ってほしいと思う歌麿は葛藤しながら、弟子に下絵を描くように指示した。
そんなとき、地本問屋・西村屋(西村まさ彦)が二代目を継ぐ万次郎(中村莟玉)を連れて歌麿を訪ねて来た。万次郎は、かつての蔦重のライバル、地本問屋・鱗形屋(片岡愛之助)の次男だ。
西村屋の話は、歌麿と仕事をしたいということだった。歌麿は蔦重の「抱え」だと言うが、万次郎はたくさんの企画も用意していた。「先生は、これからも蔦屋さんのもとで描くだけでよろしいので?私はそれが先生の絵を狭めてしまうような気がしてなりません」と訴える万次郎。
続けて西村屋は、歌麿の絵に書かれた署名よりも上に蔦屋の印が押されていることを指摘する。「だまされているとは申しませんが、長い付き合いをいいことに、都合よく使われてるとこもあんじゃございませんかねぇ」。
「今日の私があるのは、蔦重のおかげですから」と歌麿は断ったものの、その心中は穏やかではなさそうだった。
■歌麿に放った蔦重の言葉に視聴者も絶句
またも蔦重に逆風が吹く。歌麿の美人画に描かれた看板娘たちに会いに行く人が増え、そこの店は値をつり上げるなどしたため、市中の物価が上がり始めていた。節約の世を掲げてきた松平定信(井上祐貴)はそれを聞き、きっかけとなった美人画に押された蔦屋の印を見て「また、あの者か…」と憎らし気に言い捨てた。
一枚絵に女郎以外の女の名前を入れてはいけないというお達しがあり、商家たちの狙いはかなえられなくなる。ただ、蔦重はそれを逆手にとって女郎の大首絵のそろい物を出してはどうかと吉原の親父たちに持ち掛ける。親父たちは入銀(※制作資金を払うこと)なしならいいと答え、蔦重の養父でもある駿河屋(高橋克実)は、蔦重が入銀なしで絵を作り、その分で吉原からの借金を返済したことにしてはどうかと提案した。
歌麿の女郎絵を五十枚作れば、蔦屋の吉原からの借金百両を返済することになる。それを蔦重から聞かされた歌麿は「それ、借金のかたに俺を売ったってこと?」と静かに怒る。
蔦重は、歌麿への礼金は払うから売ったのではないと否定するが、歌麿の表情は厳しいまま。すると蔦重は「頼む!ガキも生まれんだ」と、ていが妊娠したことを明かし、「正直なとこ、新たな売れ筋が欲しい。頼む、お前だけが頼りなんだ。身重のおていさんに苦労かけたくねぇんだ」と頭を下げた。
仕事を引き受けた歌麿だったが、気持ちは重い。そこへ再び万次郎がやって来た。歌麿は「西村屋さん、お受けしますよ、仕事。このそろいものを描き終わったら、もう蔦重とは終わりにします」と告げた。
身上半減の罰を受けた店を立て直し、かつてのような華やかな江戸を取り戻したいと躍起になっている蔦重。歌麿の絵師としての思いをちゃんと汲んでやることよりも、そちらを優先してしまっているのだ。さらに、ていの妊娠という喜びは、蔦重への思いがある歌麿にはつらいものでもあるはず。万次郎が来る直前、手鏡に映った自分の顔をじっと見ていた歌麿は、万次郎に「次は己の顔でもお描きになるので?」と問われ、「いや、ちょいと恋心をね」と答えた。なんという切ない描写だろう。その歌麿の思いに気付いてくれていた蔦重の母・つよ(高岡早紀)は残念ながらこの世を去ってしまい、蔦重をいさめることも、歌麿を“おっかさん”としてフォローしてくれることももうない。
視聴者からも「それ言っちゃダメなやつ」「あちゃー、それダメだよ」「それ今言っちゃうんだ」「歌にはキツい話」「最後の一線超えたか」といった声が上がった。副題の「招かれざる客」は、歌麿にとっての蔦重に関することだったのか…。蔦重との決別という歌麿の覚悟の切なさが視聴者の間にも広まった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

