
今回は、そんな『ぎるぐる GiLGuL』にて、生と死の間にある世界、間世(はざまよ)に迷い込んだ間世の異分子にして誰よりも生に固執する主人公・三津 真央を演じた声優の高柳知葉さんに『ぎるぐる GiLGuL』収録中のエピソードや、役者としてのこだわりや考え方などを聞いた。

ーーあらためて、『ぎるぐる GiLGuL』のご紹介をいただけますでしょうか。
【高柳知葉】私、高柳が演じている三津真央ちゃんを中心に、登場する女の子たちが生きることを模索し、生きるとはなにか、ということに向き合いながら前に進んでいく物語です。ゲームは、この7人の女の子たちの物語を追うアドベンチャーパートと、各階層でその女の子たちのトラウマと戦うタクティカルパートの2つからなっているので、どちらも楽しめるものになっています。

ーー今回はゲームの主人公役を演じている高柳さんですが、普段ゲームはされますか?また、どのようなゲームが多いですか?
【高柳知葉】子どものころはゲームが禁止のおうちだったので、トランプとかボードゲームばかりやっていたのですが、いわゆるデジタルゲームは大人になってからプレイするようになりました。そのなかでも、やっぱり自分が携わったゲームが多いのですが、あとはスマホのパズルゲームを一生やっちゃいますね(笑)。単純だけど、ちょっとひと癖あるような、頭を使うゲームが好きです。
ーーお忙しい毎日だとは思うのですが、どんなときにプレイされるんでしょうか?移動中とかお仕事の休憩中とか……。
【高柳知葉】移動中とか、おうちに帰ってお風呂がわくのを待っている時間とか、そういうちょっとした時間に遊んでいることが多いかもしれないですね。一時期は、一生数独をやっていましたね!解けたときにすっきりする快感が大好きで……(笑)。
ーーすっきりする快感、でいうと『ぎるぐる GiLGuL』はどうでしたか?
【高柳知葉】タクティカルパートはすごくすっきり!パズルみたいに遊べるので。アドベンチャーパートはすっきり……とはちょっと違うかもしれないんですが、私は小説を読んだりいろいろな方のドキュメンタリーを読んだりするのが大好きなんですが、『ぎるぐる GiLGuL』に関しては、ドキュメンタリーというか、ノンフィクションを見ているようで。こういう環境で生きていらっしゃる方もいそうだな……とか。そういうとき人ってこういう考え方をするのか……とか。そういうところが興味深いものになっていると思います。

ーードキュメンタリーやノンフィクション要素もある『ぎるぐる GiLGuL』ですが、最初にお話がきたときどう思われたかお伺いさせてください。
【高柳知葉】最初にプロットや序盤のシナリオを読ませていただいたときは、物語自体も、真央ちゃんのキャラクター設定も、心に重くのしかかるものになっているので、演じるには覚悟と強い心が必要だな、と思いました。心をすり減らしながら一緒に戦わないといけないというか……。毎回収録を終えるたびに心がずっしり重くなってしまって、いつもより一駅分余計に歩いて帰ってみたり……夜風にあたりたくなってしまう日々が続きましたね。でも、それと同時に、真央ちゃんを隣で見届けられるのがとてもうれしかったです。
ーー夜風にあたりたくなってしまうところは、具体的にはどこでしたか?
【高柳知葉】そうですね……。真央ちゃん自身の過去がやはり一番大きかったですが、それぞれのキャラクターにもいろいろな過去が存在していて、それらがパズルのピースように物語それぞれに関わってきてひとつの大きなパズルになっているんですが、それを真央ちゃんとして聞いていると、やっぱりいろいろ思うところがあって……夜風にあたりたい!となっていました(笑)。

ーーそんな心を揺れ動かしてくる(笑)真央ちゃんですが、どんな女の子か、もう少しお伺いしてもいいでしょうか。
【高柳知葉】真央ちゃんは、家庭環境的に早く大人にならなくちゃいけない子ども時代を送ってきた子で、年齢的にはもちろん大人になりきれていないけれども、一生懸命大人になろうと自分を律してきた結果、年齢に対してすごく大人びている子だと思います。本来であればもっと素直に感じたものを感じたまま生きていてもいい年齢だと思うのに、感じたものをぐっと自分のなかに落とし込んで、それを自分のなかで考え消化してから表に出すようになっている。もちろん、そこが彼女の魅力でもあるんですが。そんな彼女がさまざまな女の子と出会うなかで、彼女自身も成長していくのがこの『ぎるぐる GiLGuL』の見どころにもなっていると思います。

ーーそんな真央ちゃんですが、高柳さんご自身として、共感できる部分とか、逆にここはちょっと違うなとか、わかり合えない部分みたいなところがあれば教えてください。
【高柳知葉】共感できるというか、似ているな、と思うところは、私自身が早く大人になりたいと思っている子ども時代を過ごしてきたところです。もちろん私は真央ちゃんの事情とは全然違うんですが、私の周りは大人の方が多くて、この人たちと対等に話したい、話を理解したいという気持ちで早く大人になりたかったんです。真央ちゃんも私も、言うなれば、ちょっとおませさん。もちろん、真央ちゃんは大人にならざるを得なかったので、そういう意味では根本的には違うと思うのですが……。それ以外の部分は……そうですね、感情は私と真央ちゃんはだいぶ違うキャラクターだと思っています。だからこそ、自分にない感情やそれを生み出している感覚に対して、真央ちゃんはこういう風に物語を捉えているんだ、とか、一つひとつ理解していくのがとっても難しく、でもそれも含めて楽しい時間になっていました。
ーー理解できる部分も、難しい部分も多くあったと思うのですが、『ぎるぐる GiLGuL』は、、約27万文字(文庫本約2.5冊分)のボリュームがすべてフルボイスだったので、そのボリューム感だけでも大変な作品だったと思います。収録期間ってどれくらいだったんでしょうか?
【高柳知葉】一発目が去年の12月23日だったので、クリスマス前に重くはじまり……(笑)そこから2月くらいまで、1回3〜5時間を週3くらい収録していましたね。なので通常のアニメとかと比べてもすっごく長かったです!
ーーあ、夜風って、けっこう寒い時期の夜風だったんですね(笑)。
【高柳知葉】そうなんです(笑)。それでも夜風にあたりたかったんですね……!あの時期は(笑)。寒いってこともあったんですが、真央ちゃんがいろいろなものを身体のなかに押さえ込んでいる子で私自身も無意識のうちに身体にすごい力が入ってしまっていたので、頭も身体もガチガチになりながら収録していました。でも、ガチガチになったり、時には血の気が引いているような感じではありましたが、それって真央ちゃんを、キャラクターを肌で感じられているっていうことなので、その感覚自体は役者をしていて、ある種幸せな時間ではありましたね。真央ちゃんの苦しい感情もうれしい感情も一緒に感じられたっていうのはすごく楽しかったし、幸せだったし、いい経験だったなと思います。
ーーキャラクターを肌で感じる、ということですが、普段、役者さんとして演じるうえで意識していることはありますか?
【高柳知葉】私は、「私が思うこの子はこれです」と自信を持って現場に持っていくことが役者の仕事だと思っています。新人のころは正解はないのに正解に寄せていくようなことをしちゃっていた時期もあるんですが、そうではないことに、キャリアを重ねるなかで気づいたんです。もちろん、現場で演じてみてディレクションを受けて変えることもあるのですが、まず最初に自分の思う像をぶつけてみる。それが役者の、私の本来の仕事なんだなと思っています。

ーー「私が思うこの子はこれです」と自信を持って現場に持っていくことが役者の仕事、とのことですが、どのように「私が思うこの子はこれです」を作っていくのでしょうか?
【高柳知葉】家で役作りをするときはその子の背景だったり、このセリフを言うときのこの瞬間、心のなかではなにを考えているんだろうと考えながら作っていくんですが、マイクの前ではある種まっさらなんですよね。もちろん、テクニック的に表現するというのもプロの声優としての仕事だとは思うのですが、私は、その子としてその場にいるというか、その子が見ている景色が目の前に広がっているというか。もちろん、喋っている相手がいるのであれば、その子に向かって喋っている感覚ですし。だから、そのくらい入り込める、集中できるお芝居ができた時はいい芝居ができているなと思いますし、どんな場面でも瞬間的にそうなれる役者でありたいなとは思っています。
ーー『ぎるぐる GiLGuL』でいい芝居ができた瞬間はありましたか?具体的にそのシーンを教えてください。
【高柳知葉】やっぱり、「贖罪という言葉で、生きることを、必死に生きてる人を、生きようとする人を無礼(なめ)るな……」ですかね。普段内に秘めている真央ちゃんの感情がばっと出るシーンです。ここは、身体の中から出たな、出せたな、と思ったセリフなので、ぜひ注目してほしいです。あとは、真央ちゃんと言えば「ん」の芝居。いろいろな「ん」があって、まさに「ん」の10段活用。言葉数が多くないからこそ、「ん」でさまざまな感情を伝えているんです。使い回しはしていないので、全部録り直しています!
ーー全部録っているんですね……!
【高柳知葉】はい!前を受けた「ん」なので、全部違うんですよ。もちろん、エンディング分岐も同じセリフもあるのですが、前を受けて少しずつ感情が変わっているので、全部録り直していたり。「……」もそれぞれ全部録っています。ワード数を数えていただいたら、真央ちゃんのワードが3200ワード。アクションボイス含めると3300ワードくらいでした。タクティカルパートのボイス以外は汎用ボイスは存在していないゲームです(笑)。

ーーある種、狂気を感じますね(笑)。もちろん、いい意味の狂気ですが。
【高柳知葉】感情の変化が大切な作品だったので、切り貼りされなくてよかったです。でも、アニメのワード数って22分で全体で400から500。そう考えると、1キャラで3000ワードって、すごいことですよね。でも、そういうところまでこだわって録ってはいるので、すべてのエンディングを見てほしいですし、一度とは言わずに、ぜひ同じエンディングでも何度も噛み締めて聞いてほしいですね(笑)。
ーーここまで、真央ちゃんのお話や、役者としての高柳さんのお話を伺ってきましたが、そろそろインタビューも終わりの時間が迫ってきているので……簡単に、真央ちゃん以外の各キャラクターのご紹介を簡単にいただけますか。
【高柳知葉】はい!

まずは、ビッケちゃん。うざかわマスコットキャラクター。「のだ」の子。うざかわが癖になります!(笑)。あれ、伊藤ゆいなさんの声じゃなかったら許せないうざさだったかもな〜(笑)。でも、真央ちゃん的には、うざいけど、いなくなったら寂しくなる存在。

巽美玖さん。とってもすてきなお姉さんです。本当に本当にすてきなお姉さん。優しくて、面倒見も良くて、近くにいてくれたらすごく心強い存在。優木かなさんが「私以外誰がやるのよ!」っておっしゃっていました(笑)。

鳥飼友里愛ちゃん。守りたい存在。守りたいこの笑顔!彼女にはなんとか幸せに生きてほしいと、誰しもが思ってしまう存在だと思います。

水浦楓さん。私が一番大好きなキャラクターですね。彼女は物を作り出す、生み出す才能を持っています。でも、彼女には、才能があるから尊敬されているわけではなく、あなた自身を尊敬しているんだよと伝えてあげたいですね。絵が描けなくてもあなたはあなただよ、と。

鬼首姫奈ちゃん……。姫奈はそうですね……。うーん……。見た目は好きな人いっぱいいると思うんですが……。見た目は、かわいい!見た目は。でも、ちょっと距離をおいておかせていただきたい(笑)。でも、キャラクターとしては、ある種ものすごい魅力のあるキャラクターですよね。いま真央ちゃんとして見てしまっているので、うっ……となってしまうんですが、彼女の持つ圧倒的な自尊心にリスペクトはとってもあるので、自分とは関係ないキャラクターだったらすごく魅力的で好きになっていたと思います。

目代恵美さん。ある意味一番癖があるキャラクターですね。最初はちょっとおもしろいお姉さんで、友だちにいたらおもしろいかもなって思うんですが、深入りするととっても危険。ほどよい距離をとっておきたいキャラクター・セカンドって感じですね。ファーストは姫奈ちゃん(笑)。
ーーありがとうございます(笑)。キャラクターそれぞれのお話も伺えたので、このインタビューを通して『ぎるぐる GiLGuL』を知る人も多いと思うので、最後に、読者に向けて一言お願いいたします。
【高柳知葉】『ぎるぐる GiLGuL』というゲームは、物語として、自分ごととしても捉えられるし、自分の隣人の話とも捉えられるようになっていて、普段ゲームをしない方にも物語をしっかりと楽しんでいただける作品になっていると思います。そして、タクティカルパートのバトル要素に関しても、わかりやすく難易度もちょうどよく設定されていると思うので、とっても遊びやすく、アドベンチャーパートを邪魔しないようになっているので、ぜひ彼女たちの物語、彼女たちの感じる感情をぜひみなさんに共有していただけたらうれしいと思っています。

【高柳知葉】生きることはなにか、生きていくってどういうことなんだろう、という大きなテーマはあるのですが、それって普段、私たちも毎日向き合っていることだとは思うので、この『ぎるぐる GiLGuL』を通して、あらためて考えるきっかけになるといいなと思っていて。重いだけではない、人生が前向きになれる作品だなと思っているので、自分の人生を、明日を、ちょっと楽しく、そして、まわりの人にちょっと優しくなるきっかけになれるといいなと思っています。本日は、ありがとうございました!
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