「大麻」が脳をハッキングする仕組みをご存知ですか? 身体で起きる危険な変化

「大麻」が脳をハッキングする仕組みをご存知ですか? 身体で起きる危険な変化

大麻の主成分であるTHCとCBDは、脳の神経伝達に深く関わり、快楽や記憶、感情のコントロールに影響します。これらの物質が脳内のカンナビノイド受容体にどのように作用し、どのような化学的変化をもたらすのかを理解することは、大麻の影響を正しく把握する第一歩です。

公受 裕樹

監修医師:
公受 裕樹(医師)

【経歴】
金沢大学医学部卒業
精神科単科病院を経て、現在都内クリニック勤務
精神保健指定医、産業医
【免許・資格】
精神保健指定医、産業医

大麻の主要成分と脳への作用メカニズム

大麻に含まれるTHCやCBDは、脳内の神経伝達に深く関与し、快楽や記憶、感情に影響を与えます。まずはその化学的特徴と作用メカニズムを理解しましょう。

THCとCBDの薬理学的特性

大麻(Cannabis sativa)には100種類以上のカンナビノイドと呼ばれる化学物質が含まれています。その中でも特に重要な成分がTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)です。

THCは大麻の主要な精神作用成分であり、脳内のカンナビノイド受容体CB1に結合することで多様な薬理効果を発揮します。一方、CBDは非精神作用性であり、抗炎症作用や抗不安作用を示すとされています。

THCが脳内で作用する際は、内因性カンナビノイドシステム(エンドカンナビノイドシステム)に働きかけます。このシステムは神経伝達物質の放出を調節し、記憶、認知機能、運動制御、疼痛感覚などに関与しています。CB1受容体は主に中枢神経系に分布し、特に海馬、大脳皮質、基底核、小脳に高密度で存在します。

CB2受容体は主に免疫系細胞に分布し、炎症反応や免疫応答の調節に関与しています。CBDはCB1受容体への親和性は低いものの、CB2受容体への作用や、セロトニン受容体、TRPV1受容体への影響を通じて、抗炎症効果や神経保護効果を示すと考えられています。

神経系への急性作用

大麻使用による急性の神経系への作用は、使用後数分から数時間にわたって持続します。THCが血液脳関門を通過して脳内に到達すると、まず前頭前皮質や海馬の機能に影響を与えます。これにより、短期記憶の障害、注意力の低下、判断力の減退が生じます。

また、時間感覚の変調も特徴的な症状の一つであり、時間の経過が遅く感じられる現象が報告されています。運動機能への影響も顕著に現れ、協調運動の障害、反応時間の遅延、バランス感覚の低下などが生じます。

さらに、視覚や聴覚の感覚変調も起こりやすく、色彩の鮮やかさが増したり、音楽がより豊かに聞こえたりする現象が報告されています。自律神経系への作用も重要であり、心拍数の増加(1分間に20-30回の増加)、血圧の変動、口渇、結膜充血などが典型的な急性症状として現れます。

まとめ

大麻の使用は多様な健康被害をもたらし、依存症のリスクを伴う深刻な問題です。身体的影響から精神的影響、社会機能への障害まで、その影響は多岐にわたります。しかし、適切な治療と支援により回復は可能であり、早期の相談と治療開始が重要です。もし大麻使用でお悩みの方や、ご家族に使用者がいらっしゃる方は、まずは精神保健福祉センターや専門医療機関にご相談ください。一人で抱え込まず、専門家と共に回復への道筋を見つけていくことが大切です。

参考文献

警察庁 大麻対策のためのポータルサイト

厚生労働省 令和7年3月1日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます

政府広報オンライン 大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します

配信元: Medical DOC

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