SNSで頻発する「子連れ様」「子持ち様」論争
「子連れ様」「子持ち様」とは――。SNS上で使用されるこれらの言葉は、主に「子育てをしているという理由で、公共の場での配慮や譲歩を過度に要求したり、横柄な態度を取ったりする親」を揶揄(やゆ)する目的で使われるスラングです。この言葉が登場する背景には、「子育て世代への配慮」と「利用者間のマナー・公平性」のバランスが崩れているという、一般利用者の不満の蓄積があります。
「子連れ様」ということばがSNSを炎上させるたび、激しい論争が巻き起こります。今、その火種は「ベビーカー・車いす優先エレベーター」へ。単なる「優先」をめぐる権利とマナーの対立を超え、「子どもがいるから偉い」と感じさせるような態度への不満、さらには「同行者」のエレベーター利用の是非にまで議論が広がり、社会の断絶が浮き彫りになっています。
発端は名古屋のデパートから!「場が凍った」一言の波紋
今回、議論のきっかけとなったのは、11月上旬ごろに投稿されたX(旧ツイッター)上の体験談でした。
投稿者が名古屋のデパートの優先エレベーターに乗り合わせた際、満員にもかかわらず、途中階からベビーカー連れの夫婦が乗車しようとしたといいます。
見かねた他の利用者が自ら降りてスペースを譲ったところ、ベビーカーの母親が「ベビーカー優先のエレベーターだしね」と、周囲に聞こえるように放ったという内容でした。
この投稿には、
「優先されて当然といった傲慢な態度だ」「感謝の気持ちがないのが残念だ」
といったもやっとした気持ちが添えられています。「子連れは優先されて当然」という“マウント”のように見える姿勢が、再び「子連れ様」論争に火をつけることとなりました。

