健康診断で「多血症の疑いあり」と言われた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?多血症には脱水症状による「相対的多血症」や、遺伝子変異などによる「真性多血症」があり、それぞれ治療法が異なります。この記事では、多血症の具体的な治療法や注意点について医師が詳しく解説します。適切な検査と治療で、重篤な合併症を予防しましょう。

監修医師:
渡邉 健(ハレノテラスすこやか内科クリニック)
2003年 鹿児島大学医学部を卒業後、東京医科歯科大学(現東京科学大学)にて内科診療の経験を積み、血液内科の病棟医長を務める。2019年には、それまでに培った血液疾患治療と全身管理の経験を活かし、ハレノテラスすこやか内科クリニックを開業。総合内科専門医。日本血液学会専門医。
編集部
真性多血症は、どのように治療するのですか?
渡邉先生
治療法は大きく分けて、「ハイドレアやジャカビなどの薬を用いて過剰な細胞増殖を抑制する方法」「血液を抜き取る瀉血(しゃけつ)によって物理的に赤血球の数を減らす方法」「低用量アスピリンを使用し、血栓形成を阻害する方法」の3つがあります。高齢者の場合、瀉血で体内の鉄や血液量が不足すると体調を崩すこともあるため、容態をみながら治療法を選択していきます。
編集部
それ以外の多血症の場合は、どのように治療すればいいのでしょうか?
渡邉先生
まず、相対的な多血症が疑われる場合には、しっかり水を飲んで脱水症状の改善を目指します。また、睡眠時無呼吸症候群などの疾患が疑われる場合は、簡単な睡眠の評価テスト(ESS)をしたり、簡易検査をしたりして、睡眠時無呼吸症候群の有無を明確にする必要があります。睡眠時無呼吸症候群は多血症だけでなく、糖尿病や心疾患などの様々な病気のリスクになりますから、疑われる場合にはできるだけ早期に検査を受けましょう。
編集部
そのほか、多血症と診断された場合にはどうしたらいいでしょうか?
渡邉先生
心臓や肺の病気、がんなどが原因となって多血症を招いていることがあります。これらの場合、命のリスクになることもありますから、早めに検査を受けるようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
渡邉先生
健康診断などで「多血症の疑いあり」と指摘されて受診する人の多くが、脱水による相対的な多血症です。一方、真性多血症の発症要因となる遺伝子変異は非常に稀なことですから、「多血症の疑いあり」と言われてもあまり不安にならず受診してほしいと思います。しかし、もし本当に真性多血症だとしたら脳梗塞や心筋梗塞など重篤な状態を招きかねないため、注意が必要です。また、多血症にはがんや睡眠時無呼吸症候群などの疾患が関与している場合もあります。実際、真性多血症と考え瀉血をしていた人が、睡眠時無呼吸症候群を発症していることがわかり、耳鼻科で治療を受けたら多血症が改善したという事例もありました。多血症の背景にどのような疾患が隠れているかわからないので、できるだけ早めに血液内科を受診して、正確に診断してもらうことが必要です。
※この記事はメディカルドックにて【健康診断で「多血症」と診断された場合の原因・対処法を医師が徹底解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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