「普段出さない表情を引き出してもらえた気がします」吉沢亮さんの原風景で見せた強さと柔らかさ

「普段出さない表情を引き出してもらえた気がします」吉沢亮さんの原風景で見せた強さと柔らかさ

[IN THE BACK] vol.6

Starring Ryo Yoshizawa

“Blue Blue Rose”


 


ふとした瞬間の表情や仕草に宿る、その人自身の奥にある“何か”を引き出す、メイキャッパーUDAさんがディレクションを手がける隔月連載。

今回は、映画やドラマで確かな存在感を放ち、近作『国宝』でも新境地を見せた俳優・吉沢亮さん。

シャツ ¥190,300、パンツ ¥139,700(共にマルニ/マルニ ジャパン クライアントサービス)、その他スタイリスト私物

ジャケット ¥186,000、シャツ ¥109,000、パンツ ¥111,000、ネックレス ¥109,000(全てルメール/エドストローム オフィス)、その他スタイリスト私物

BEHIND THE SCENES

夏の終わりが近いなか、燦々と降り注ぐ太陽の光を背に始まった今回の撮影。「吉沢くんは本当は熱い感情を秘めていると思うんです」と話すUDAさんが、彼が幼少期に過ごした地で垣間見た素顔とは。

媚びない強さと、ふと滲む柔らかさ。

「いつもの撮影と違って、自分のバックボーンや空気感を踏まえて洋服が選ばれていく。その過程がとても新鮮でしたし、普段の撮影とは違う楽しさがありました」


 


そう語るのは、今回出演いただいた吉沢亮さん。ロケ地として選ばれたのは、自身が生まれ育った西東京の河原やグラウンド、通学路など彼の原風景ともいえる場所。


 


「ああ、知ってるこの感じ、と思える風景なんですよね。学生時代、学ランを少し崩して着ていた友人たちの姿や、地元で過ごした時間がふとよみがえってくる。だからこそ、特別な衣装なのにすごくなじんでしまうような不思議さがありました」


 


役者として生きていく覚悟が芽生えたのは二十歳を過ぎたころ。周りの友人たちが就職活動を始め、お互いに仕事の話をするようになったとき、「あ、これは仕事なんだ」と意識が変わった。そこから少しずつ役者としての責任感が育っていったという。また、自身のキャリアの転機となった舞台での経験を通じて役者としての手応えを感じたと話す彼は、表情についても印象的な言葉を残した。


 


「普段演じるときは“無”でいることを意識しているのですが、今回は“僕自身”というより、“この空気の中にいたら、きっとこいつはこういう表情になるだろうな”と自然に表情が出せた感じがしました。それはUDAさんがこの土地の温度や空気感を知っているからこそ、すっとその世界に入っていけたんだと思います」


 


また、彼は自分自身をドライと表現する。必要以上に踏み込まない距離感や媚びない強さ。それは地元である西東京で育った空気と無関係ではないようだ。


 


「友人同士で愛情はあるけど、過度に干渉しない。べたつかない距離感が心地いいんです。その感覚は、役者としての自分にも繋がっている気がします。自分のやるべきことはやる。でも必要以上に相手に介入しない。それが自分らしさなのかもしれません」


 


今回の撮影で見せたのは、役を脱ぎ捨てた姿でありながらも、どこか別の誰かを演じているような表情。


 


「普段出さない表情をUDAさんに引き出してもらえた気がします。UDAさんも同じ西東京出身だからこそ、共有している空気感があって、そのなじみやすさに助けられました。すっと入っていける楽しい撮影でした」


 


どこか突き放すようでいて、ふとした瞬間に浮かぶ温かな眼差し。相反する表情の間に浮かぶものは、彼が演じてきた数々の役と地続きにあり、なじみのある風景と共鳴しながらひとつの物語を紡いでいた。

ジャケット ¥186,000、シャツ ¥109,000、パンツ ¥111,000、ネックレス ¥109,000(全てルメール/エドストローム オフィス)、その他スタイリスト私物

シャツ ¥190,300、パンツ ¥139,700(共にマルニ/マルニ ジャパン クライアントサービス)、その他スタイリスト私物

Profile_吉沢 亮(よしざわ・りょう)/1994年生まれ、東京都出身。2009年にデビュー。NHK大河ドラマ「青天を衝け」、映画『キングダム』シリーズなど数々の作品に出演し、受賞も多数。今年公開された映画『国宝』では歌舞伎の女方を演じ、唯一無二の存在として揺るぎない輝きを放った。現在放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」にも出演するなど、さらに表現の幅を広げている。

direction & make-up:UDA[mekashi project]
photograph:SHUNYA ARAI[YARD] styling:TEPPEI
hair:KANADA[LAKE TAJO] model:RYO YOSHIZAWA edit:MIYU SUGIMORI

otona MUSE 2025年12月号より

提供元

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オトナミューズウェブ

「37歳、輝く季節が始まる!」がキャッチコピー。宝島社が発行する毎月28日発売のファッション誌『otona MUSE』がお届けする、大人のためのファッション・ビューティ・ライフスタイル情報!