ある朝
そんなある日のことでした。
ふと門の方へ室内から目をやると、いつもとは別の保護者が、開園時間より少し早く門の前に立っているのが見えました。
すると、ちょうどその時、いつも早く来てインターホンを鳴らす保護者もやってきたのです。
私たちは、またインターホンが鳴るかと身構えましたが、その日は一度も鳴りませんでした。
保護者からの“思わぬ一言”
気になってしばらく様子を見ていると、先にいらした保護者がお子さんに向かって、とてもやさしい声で話しかけているのが聞こえました。
「まだ開園時間になってなかったの! 今日は早く歩けたから、ここでママと少し待っていようね」
その声が、門の前に静かに響きます。誰に向けたでもない、ごく自然な、お子さんとのやりとり。
そして、それを聞いたもう一方の保護者の方が、一瞬だけ表情を曇らせたのも窓越しから見えました。きっと、自分が「子どもにどう見えていたか」を意識したのかもしれません。

