「ボーエン病を発症しやすい2つの原因」はご存じですか?医師が監修!

「ボーエン病を発症しやすい2つの原因」はご存じですか?医師が監修!

ボーエン病の発症には複数の要因が関与しており、長期的な紫外線暴露やウイルス感染など、主要な原因について知ることで、リスクを減らすための具体的な対応が見えてきます。ここでは発症に関わる要因を詳しく説明します。

松澤 宗範

監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

ボーエン病の原因

ボーエン病の発症には複数の要因が関与しており、これらの原因を理解することで予防策を講じることが可能です。主要な原因を把握することが重要となります。

紫外線暴露と皮膚老化の関係

ボーエン病のもっとも重要な原因の一つは、長期間にわたる紫外線暴露です。紫外線、特にUV-BとUV-Aは、皮膚細胞のDNAに直接的な損傷を与え、がん化を促進する重要な要因となります。紫外線によるDNA損傷は累積的であり、若い頃からの長期間の暴露が中高年期での発症に関与します。

紫外線暴露により生じる代表的なDNA損傷は、チミン二量体の形成です。この損傷は通常、細胞のDNA修復機構により修復されますが、修復能力を上回る損傷が蓄積されると、細胞の悪性化が進行します。また、紫外線は免疫機能を抑制する作用もあり、変異細胞の除去機能を低下させることで、がん化を促進します。

職業的に長時間屋外作業に従事してきた方、スポーツや趣味で日光暴露の機会が多かった方、居住地域が紫外線量の多い地域であった方などは、ボーエン病の発症リスクが高いとされています。また、皮膚タイプ(フィッツパトリック分類)においても、色白で日焼けしやすいタイプの方はリスクが高くなります。

近年の研究では、間欠的で強い紫外線暴露(日焼けを起こすような暴露)よりも、慢性的で軽度の暴露の方がボーエン病の発症により強く関与することが示されています。このため、日常的な紫外線対策の重要性が強調されています。

ヒトパピローマウイルス感染の影響

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染は、特定の部位のボーエン病発症において重要な役割を果たします。HPVには100種類以上の型があり、その中でも高リスク型HPV(16型、18型、31型、33型など)は、皮膚や粘膜のがん化に関与することが知られています。

陰部や肛門周囲に発生するボーエン病では、HPV感染の関与が高い頻度で認められます。これらの部位のボーエン病は、しばしば「ボーエン様丘疹症」として分類され、通常の皮膚ボーエン病とは異なる特徴を示します。HPV関連のボーエン病は、比較的若い年代での発症が多く、多発性病変を示すことが特徴です。

HPV感染によるがん化のメカニズムは、ウイルス由来のE6およびE7蛋白質が、細胞のがん抑制遺伝子(p53、Rb)の機能を阻害することにより起こります。これにより細胞周期制御が破綻し、異常細胞の増殖が促進されます。

免疫抑制状態にある患者さんでは、HPV感染の持続とウイルスクリアランスの低下により、ボーエン病の発症リスクがさらに高くなります。そのため、免疫抑制薬を使用中の患者さんでは、定期的な皮膚検診が推奨されています。

まとめ

ボーエン病は上皮内がんでありながら、放置すると浸潤がんに進行する可能性があるため、早期発見と適切な治療が不可欠です。初期症状は軽微で見過ごしやすいものの、境界明瞭な紅褐色斑や持続する鱗屑などの特徴的な所見を理解することで早期発見が可能となります。主な原因である紫外線暴露やHPV感染を踏まえた予防策の実践と、定期的な皮膚検診により、発症リスクの軽減と早期治療につなげることができるでしょう。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス – 皮膚がん

日本皮膚科学会 – 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版

厚生労働省 – がん対策推進基本計画

配信元: Medical DOC

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