「膀胱炎の治療は終わったはずなのに、トイレが近いまま……」。そんな経験はありませんか? 抗生剤で治療した後も頻尿や残尿感が続くと、不安な人もいると思います。そこで、医師の矢野仁先生(よつかいどう泌尿器科クリニック)に、膀胱炎や治療後の頻尿がなぜ起こるのかなど、気になることに答えてもらいました。

監修医師:
矢野 仁(よつかいどう泌尿器科クリニック)
富山大学医学部医学科卒業。その後、千葉大学医学部附属病院、沼津市立病院、東邦大学医療センター佐倉病院などで泌尿器科医として経験を重ね、2022年に千葉県四街道市で「よつかいどう泌尿器科クリニック」を開院、院長となる。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本排尿機能学会排尿機能専門医、日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医。
頻尿ってどういう状態? 医師が解説
編集部
頻尿とはどのような状態を指すのでしょうか?
矢野先生
頻尿とは「尿の回数が多い状態」を指します。一般的に、日中に8回以上、夜間に1回以上トイレに行くと頻尿とされますが、生活習慣や水分摂取量、体質などによって個人差があります。回数はあくまで目安なので、これより少なくても「トイレが近いことが気になる」「我慢できない」といった不快感がある場合は、一度医療機関に相談してもらって大丈夫です。
編集部
頻尿の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
矢野先生
頻尿の原因はさまざまです。膀胱炎などの感染症のほか、加齢やホルモンの変化、過活動膀胱、前立腺肥大、糖尿病、ストレスなども関係します。また、水分を過剰に摂ったり、カフェインやアルコールを摂取したりすると一時的に尿が頻回になりますし、妊娠中などは、胎児によって膀胱が圧迫されるため、十分に尿を溜めておけなくなり、頻尿になることがあります。
編集部
膀胱炎について教えてください。
矢野先生
膀胱炎とは、膀胱の内側の粘膜に炎症が生じる病気で、主に細菌感染が原因となります。とくに女性に多く見られますが、これは女性の尿道が短く、肛門との距離が近いため、細菌が膀胱に入りやすい構造をしているからです。排尿を我慢したり、免疫力が低下していたりしても発症の要因となります。また、再発しやすいのも特徴の一つです。
膀胱炎の症状や治療について
編集部
膀胱炎はどんな症状が出るのですか?
矢野先生
膀胱炎の主な症状は、頻尿、排尿時の痛み(排尿痛)、残尿感、尿の濁りや血尿などです。発熱を伴わないことが多いですが、進行すると腎盂腎炎になり高熱が出る可能性もあります。頻尿や排尿痛が気になった場合などは、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
編集部
膀胱炎の治療にはどんなものがありますか?
矢野先生
急性膀胱炎の治療では、原因菌に合った抗生剤を数日間服用します。通常、服薬開始から数日で症状は軽快しますが、自己判断で中断せず、医師の指示通りに最後まで飲みきることが重要です。水分を多めに摂って、尿をしっかり出すことも有効です。
編集部
治療後、どのくらいで治りますか?
矢野先生
多くの人は、治療を始めて2〜3日以内に排尿時の痛みや頻尿などの症状が軽くなってきますし、長くても1週間程度で症状が改善したと感じる場合がほとんどです。しかし「改善した」とは感じても、完全に症状が消えたと感じるまでにはもう少し時間がかかることもあります。
編集部
治療を終えても、頻尿が続くことがあるということでしょうか?
矢野先生
はい、あります。抗生剤で菌が消えても、炎症による膀胱の過敏状態が続いていると、頻尿や違和感が残ることがあります。とくに女性では、症状が消失したと感じるまでに2週間以上かかるケースもあります。焦らず様子を見ることが大切です。

