甲状腺クリーゼの原因とは?感染症や手術が引き金になる危険性も【医師監修】

甲状腺クリーゼの原因とは?感染症や手術が引き金になる危険性も【医師監修】

甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進症が急激に重篤化した状態で、適切な対処を行わなければ生命に関わる危険な疾患です。特に妊娠中の方にとっては、母体と胎児の両方に深刻な影響を与える可能性があるため、早期の認識と適切な医療機関での治療が極めて重要となります。
本記事では、甲状腺クリーゼの症状の見分け方から、妊娠中に起こりうるリスク、そして発症の原因について解説します。

五藤 良将

監修医師:
五藤 良将(医師)

防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

甲状腺クリーゼの主要な発症原因

甲状腺クリーゼの発症には、既存の甲状腺機能亢進症に加えて、特定の誘因が関与することが一般的です。これらの誘因を理解し、可能な限り回避することは、甲状腺クリーゼの予防において極めて重要な要素となります。

感染症による誘発メカニズム

感染症は甲状腺クリーゼの頻度の高い誘因の一つです。細菌感染、ウイルス感染を問わず、全身の炎症反応が甲状腺ホルモンの末梢組織での作用を増強し、甲状腺機能亢進症を急性増悪させることがあります。特に肺炎、尿路感染症、敗血症などの重篤な感染症は、高いリスクを有します。

感染症による発熱は、甲状腺ホルモンの代謝を亢進させ、既存の甲状腺機能亢進症を悪化させる要因となります。また、感染症に伴う脱水や電解質異常も、甲状腺クリーゼの発症リスクを高める要素として作用します。

感染症治療のために使用される薬剤も影響を与えることがあります。一部の抗生物質や解熱剤は、甲状腺ホルモンの代謝や結合蛋白質への影響を通じて、甲状腺機能に変化をもたらす可能性があります。

外科手術と麻酔による影響

外科手術は、甲状腺クリーゼの重要な誘因の一つです。手術侵襲による生体ストレス反応は、視床下部-下垂体-甲状腺軸に影響を与え、甲状腺ホルモンの分泌や作用を変化させます。特に甲状腺手術では、甲状腺組織の圧迫や操作により大量の甲状腺ホルモンが血中に放出され、急激な甲状腺機能亢進を引き起こす可能性があります。

全身麻酔薬の中には、甲状腺機能に影響を与えるものがあります。また、麻酔による交感神経系の変化は、甲状腺ホルモンの末梢作用を修飾し、甲状腺クリーゼの発症リスクを高める場合があり、手術中の体温変化や循環動態の変化も、誘因として作用することがあります。

手術後の疼痛管理も重要な要素です。適切な疼痛管理が行われない場合、疼痛ストレスが甲状腺機能亢進を悪化させる可能性があります。一方で、疼痛管理に使用される一部の薬剤は、甲状腺機能に影響を与えることもあるため、慎重な薬剤選択が必要です。

まとめ

甲状腺クリーゼは、適切な知識と早期対応により予防可能です。症状の初期段階での認識、妊娠中の特別な配慮、そして発症原因の理解は、患者さんとそのご家族にとって生命を守るための重要な情報となります。特に妊娠中の方では、母体と胎児の両方への影響を考慮した慎重な管理が不可欠です。
甲状腺機能亢進症と診断されている方や、甲状腺に関する症状がある方は、定期的な医療機関での経過観察を受け、緊急時には迷わず専門医療機関を受診することをおすすめします。

参考文献

日本甲状腺学会 – 甲状腺クリーゼの診断と治療

日本内分泌学会 – 甲状腺疾患診療ガイドライン

日本産科婦人科学会 – 妊娠と甲状腺疾患

日本内科学会 – 妊娠中の甲状腺疾患の薬物療法

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。