河川津波とは?津波で危ないのは海岸だけではない

河川津波とは?津波で危ないのは海岸だけではない

河川津波の事例

東日本大震災では津波が北上川を遡上し、河口から約49kmまで達して被害を引き起こしました。北上川河口部では、約1,100mに及ぶ堤防流失やそれに伴う家屋流出など、地盤沈下が発生しています。

また、河口から約4kmの川沿いに位置する宮城県大川小学校では、全校児童108人のうち約7割にあたる74人が死亡・行方不明となりました。

河口から17km地点においても高低差3mの堰を乗り越えたとみられた例もあり、海岸付近だけでなく河口からは離れた河川周辺でも警戒が必要です。

その他、1960年のチリ地震や1983 年の日本海中部地震津波でも、河川に津波が遡上し、内陸まで被害が及びました。

日本国内で発生した津波だけでなく、遠く離れた海外で発生した津波によって河川津波が発生する場合もあります。

河川津波は早期の避難が重要

河川津波は海岸から内陸の川沿いに津波が押し寄せるため、沿岸だけでなく内陸部に住む人々も早期の避難が不可欠です。

例えば、東日本大震災における河川津波は時速25~30kmにも達していたとされるなど、津波は人が走る速度よりも速く、一瞬の判断の遅れが命取りになりかねません。地震の揺れを感じたら、津波警報を待たずに速やかに高台や安全な場所へ避難することが重要です。

その他、河川津波による排水路の封鎖や、堤防破損により浸水被害が拡大するおそれもあります。

日頃から避難経路や避難場所を家族で共有し、地震発生時には早めの避難行動を心がけることが重要です。

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〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

配信元: 防災ニッポン