臨床試験が証明した4剤併用の威力
最新のCEPHEUS試験では、移植の適応とならない新規多発性骨髄腫患者さんを対象に、D-VRd療法(ダラツムマブ+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン)の効果が検証されました。
その結果、完全奏効以上を達成した割合はD-VRd群で81.2%、従来のVRd群では61.6%と有意に高く、さらに、MRD陰性(10の-5乗閾値、※がん細胞が10万個に1個以下の状態)率も60.9%と従来の39.4%から大幅に改善しました。無増悪生存期間(PFS)においても、D-VRd群は疾患進行や死亡のリスクを約43%低減するという有意な延長効果が示されています。
「VRd療法自体が強力なので、効果がある方の割合は大きく変わらないように見えます。しかし“非常によく効いている”患者さんの割合が大きく異なるのです」と黒田医師は説明します。
患者さんごとに選ぶ「オーダーメイド治療」の時代へ
新しい4剤併用療法は強力ですが、黒田医師は「全員にD-VRdをするということにはおそらくならない」と明言します。患者さん一人ひとりの状態に応じた、きめ細かな治療選択が重要なのです。
80歳以上の患者さんの場合、まずDRd(ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾンの3剤)から開始するのが基本となります。
「年齢だけでフレイルになってしまうので、無理のない治療から始めます。ただし、すごく調子が良くて元気な方だったら、そこにベルケイドを週1回追加することも検討します」
一方、比較的元気な65歳から75歳の患者さんには、4剤併用療法での積極的治療を検討します。実臨床では、型通りの治療ではなく、患者さんに合わせた調整が重要です。
「患者さんが潰れてしまうような治療では意味がない。何も最初に無理して患者さんが潰れてしまうような形にならないようにした方が、足し算で得策なのです」という考えが、黒田医師の治療方針の根底にあります。

