副作用と上手に付き合う支持療法の重要性
4剤併用療法の課題は副作用管理ですが、黒田医師は前向きに捉えます。
「血液内科医にとって、感染症に注意しない化学療法などありません。見たことのない感染症が起こるのではなく、頻度が増えるだけ」
感染症対策は治療開始時から計画的におこなわれます。投与方法の工夫も重要で、ベルケイドは点滴から皮下注射に変更することで副作用が大幅に軽減しました。ダラツムマブも皮下注射なので5分で終了。点滴なら数時間かかるところが、患者さんの負担を大きく軽減しています。
「電車の中で患者さんを見分けることは不可能」
黒田医師が医学生に語る印象的なエピソードがあります。
「病棟実習では悲惨な風景を彼らは見るわけです。ところが外来に来ると、血液内科の患者さんを待合室から選んでこいと言ったら絶対に無理だと思います。バスの中で会ったら、電車の中で会ったら、多分病気の人だとわからない。それくらい回復するので、そういう可能性を高められることがやっぱり一番重要なことではないか」
実際、月1回の通院で普通の生活を送れている患者さんが多くいます。治療の初期は外来で週2回から始まりますが、すぐに週1回になり、維持期には月1回のみ。入院が必要なのは最初の数日間だけです。
「これまでアイテムがないからもっと治療できる人たちを治療できていなかった。過剰治療じゃなくて治療不十分だった人が残っていた。そういった方に新たな強い治療を提供することができるようになった結果として、生存期間そのものが延ばせる。そして病状を早く良くすることによって、早く社会にも戻れる方、日常生活に戻る方が増えるのです」
編集部まとめ
年齢だからと諦める時代は終わりました。多発性骨髄腫の治療は、高齢者でも日常生活を維持しながら続けられる時代になったのです。30年前は「治療してもほとんど変わらない」と言われた病気が、今では「治療しながら普通に生活できる」病気へ。医学の進歩と、それを支える医師たちの20年にわたる着実な歩みが、多くの高齢患者さんに新たな希望をもたらしています。
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