予防の新時代 – PrEPという選択肢
治療薬の進歩は予防にも革新をもたらしました。PrEP(Pre-exposure Prophylaxis:曝露前予防内服、感染リスクがある行為の前に薬を飲む方法、ただし定期的なHIV検査等が必要です)について、古賀氏は説明します。
HIVに感染していない人が予防的に薬を飲むことで、感染リスクを大幅に減らせます。2015年にWHOが推奨を開始し、現在では世界で350万人以上が使用しています。薬の形態も進化を続け、2021年にはHIV薬の腟リング、2022年には8週間ごとの長期作用型注射剤が承認されました。そして2025年には年2回の注射剤を推奨しましたが、価格は約2万ドル/回と高額です。
日本の現状 – 年間新規感染と診断の遅れ
日本では年間約1000人の新規HIV感染者が報告されていますが、約30%が「いきなりエイズ」、つまりエイズを発症してから初めてHIVに感染していたことが判明するケースです。古賀氏によると、日本では推定で約3万人がHIVと共に生活していますが、その約85%しか診断されていません。これは95%を目標とする世界基準より低い数値です。
診断の遅れの背景には、根強い偏見と差別があります。特に地方では、検査を受けることへの心理的ハードルが高く、大きな障壁となっています。

