薬害エイズの教訓 – 日本が背負う歴史
日本のHIV/AIDS対策を語る上で避けて通れないのが薬害エイズ問題です。血友病(血液が固まりにくい遺伝性の病気)患者が、治療に使う血液製剤がHIVに汚染されていたことで感染した事件です。
古賀氏は「被害者の多くは現在50歳以上になり、幼少時に受けた差別・偏見に苦しんでいます」と説明します。
「現在の日本のHIV陽性者はほとんどが性的接触、多くが男性間性交渉で感染したことが示されています。HIV治療薬の改善とともに、平均年齢は上昇し、HIV陽性者は、一般の方に比べ合併する疾患が多いことも知られてきました。がんや生活習慣病、メンタルなどの問題が若年から生じることが示されています。70歳以上の方もおり、高齢化するHIV陽性者への対応は、日本の大きな課題です」と説明します。
治療ワクチンへの挑戦 – 「機能的治癒」は可能か
現在の治療では、薬を飲み続ける限りウイルスを抑制できますが、完全に排除することはできません。薬をやめればウイルスは再び増殖を始めるため、HIV陽性者は生涯にわたって服薬を続ける必要があります。
この課題に挑んでいるのが、保富氏らの研究チームです。
「我々は、エイズウイルスの一部の遺伝子を削除した弱毒化ウイルス(病原性を弱めたウイルス)をベースに、免疫を活性化させる治療ワクチンを開発しています」と保富氏は説明します。

