サルで実証された驚異的な成果
保富氏らがおこなったサルを用いた実験の成果は、医学界に大きな希望を与えました。
7頭のサルにワクチンを接種し、その後抗ウイルス薬を中断したところ、血中のウイルス量は一時的に上昇しましたが、その後自然に抑制され、数ヶ月間検出限界以下を維持しました。さらに注目すべきは、4頭では完全にウイルスが排除され、さらに2頭では検出されない状態になったことです。
「この2頭は『機能的治癒』と呼べる状態です。ウイルスの排除もしくは完全にウイルスを排除できなくても、薬なしでコントロールできる。これが我々の目指すゴールです」と保富氏は報告しています。
グローバルな視点 – アフリカの現状と国際協力
古賀氏はUNAIDSが掲げる「95-95-95ターゲット(感染者の95%が診断を受け、その95%が治療を受け、その95%でウイルスが抑制される)」について説明しました。
「2024年時点で87%-89%-93%まで到達していますが、地域による格差が大きいことも明らかになっています。 」と強調しています。
シンポジウムでは、南アフリカ・ステレンボッシュ大学のスカーレット・コーネリッセン教授も登壇し、アフリカの現状を報告しました。
サハラ砂漠より南の地域は世界のHIV陽性者の約70%を占めています。しかし、ウガンダのように国を挙げて対策に取り組み、感染率を大幅に減少させた成功例もあります。
正しい知識こそが偏見を解く鍵
古賀氏は「HIVは適切に治療している人からは性的接触で感染しません。この科学的事実を、もっと多くの人に知ってほしい」と訴えました。
保富氏も「エイズを特別視せず、ほかの慢性疾患と同じように考えることが大切。糖尿病や高血圧と同じく、薬でコントロールできる病気なのです」と付け加えます。
編集部まとめ
40年前の「死の病」は、今や1日1錠の薬でコントロール可能な慢性疾患となりました。U=Uにより性的接触で感染しない時代になりました。そして近い将来、治療ワクチンにより薬から解放される可能性も見えてきています。
しかし、医学がどれだけ進歩しても、社会の偏見と差別がなくならなければ、本当の意味での「普通の生活ができる時代」は訪れません。必要なのは、恐れることではなく、正しく知ることです。HIV/AIDSを特別視せず、共に生きる社会を作ること。それが、この40年の医学の進歩が私たちに問いかけていることなのかもしれません。
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