名古屋主婦殺害事件で出頭→逮捕、これって「自首」扱いなの? 26年逃げ続けた"罪の重さ”を弁護士が解説

名古屋主婦殺害事件で出頭→逮捕、これって「自首」扱いなの? 26年逃げ続けた"罪の重さ”を弁護士が解説

●事件と「時効」の関係は?

──今回の事件で、「時効」はどのように影響しますか?

被害者宅に侵入して殺人を犯した疑いがあるため、「住居侵入罪」と「殺人罪」が成立します。住居侵入は殺人の手段としておこなわれたと考えられるため、両罪は「牽連犯(けんれんぱん)」の関係にあります。この場合、最も重い刑で処断されます(刑法54条1項後段)。

殺人罪については、2010年の法改正により公訴時効が廃止されています。一方、住居侵入罪の公訴時効は3年ですが、牽連犯に該当する場合には、最も重い罪の法定刑を基準とし、時効の成否を判断すべきとする判例(東京高裁昭和43年4月30日判決)があります。

したがって、今回の事件では殺人罪を基準として判断されるため、住居侵入罪を含む一連の犯行についても公訴時効は完成しておらず、起訴することができるという結論になります。

【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
警察官僚出身で警視庁刑事としての経験も有する。ファイナンスMBAを取得し、企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士試験や金融コンプライアンスオフィサー1級試験にも合格、企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。陸上自衛隊予備自衛官(2等陸佐、中佐相当官)の資格も有する。現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中(刑事法専攻)。朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。楽天証券ウェブサイト「トウシル」連載。毎月ラジオNIKKEIにもゲスト出演中。新宿区西早稲田の秋法律事務所のパートナー弁護士。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:秋法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/tokyo/a_13104/l_127519/

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