●まとめ:iPhoneは「初期設定」になっているからこそ変えたがらない
学生にとってiPhoneは、単なる高性能なガジェットではありません。
それは、親から与えられ、友達とつながり、ストレスなく利用できるという、彼らの生活における「初期設定(デフォルト)」です。
「同調圧力」は、たしかに社会的な現象として存在します。
しかし、それは「皆が持っているから仕方なく合わせる」というネガティブな強要だけでは説明できません。「皆と同じ状態を維持することで、コミュニティでの摩擦や失敗という損失を回避したい」という、誰もが持つ現状維持の気持ちが強く作用していると考えられます。
彼らが次もiPhoneを選ぶのは、「考える労力を最小限に抑え、失敗リスクをゼロにする」という、人間の脳が本能的に下す最も合理的かつ安全な選択なのではないでしょうか。
この強固な「慣れの壁」と「生存本能としての合理性」を覆すには、Androidなどの他社製品が、価格や機能が優れていることをアピールするだけでは不十分でしょう。
学生たちの「考える労力」を上回る、もしくは「現状維持では大きな損失が生じる」と感じさせるほどのメリットを提示する必要があるでしょう。
(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士/小倉匡洋)

