腸閉塞治療中の注意点

腸閉塞と診断されたらどのような点に気を付ければよいですか?
腸閉塞と診断されたら、まずは医師の指示に従い絶食と点滴療法を守ります。痛みがあるからといって自己判断で鎮痛薬や下剤を使わないようにし、少しでも症状の変化(痛みの増強、嘔吐の頻度増加、血便や熱)を感じたらすぐに医師に報告しましょう。自宅安静といっても、トイレを急いだり横になる姿勢で長時間いていないように注意し、血流が滞らないよう足を動かす程度の軽い運動(ベッド上での足首まわしなど)を行ってもよい場合があります。症状が悪化しそうなときは緊急時の対処法(救急連絡先)も確認しておくと安心です。原則、腸閉塞の治療中は自己判断で飲食せず、何か不安があれば早めに医療機関に連絡しましょう。
保存療法中の注意点を教えてください
保存療法中は絶食が継続しているため、水分補給は点滴で行います。脱水や電解質異常が起こりやすいので、点滴の種類や量は医師・看護師が管理します。また、挿入したチューブからの排液量が治療効果の目安になるため、ナースコールで異常を報告しやすいようにしてください。痛み止めの使用も必要に応じて行いますが、鎮痛薬は腸管の動きを鈍らせるものもあるため、医師と相談して用量・種類を守りましょう。入院中は寝返りを打ったり腹部に負担がかからない姿勢をとり、排ガスや排便があったか毎日確認します。加えて、便秘薬や下剤は腸閉塞を悪化させる恐れがあるため絶対に使用しないでください。治療中に少しずつ食事を再開するときも、まずはやわらかい消化しやすいものを少量からにし、腹痛や吐き気がぶり返さないかを慎重に観察しながら進めましょう。
腸閉塞の手術を行った後は元どおりの生活を送ることができますか?
一般的に、手術が無事成功すれば元の生活に戻れます。ただし、腹腔鏡手術であっても創部の治癒には数週間かかるため、退院後しばらくは重いものを持たない、激しい運動は控えるなど身体を大事にしてください。食事については、まずはおかゆや軟らかい食品から始め、徐々に普通食に戻します。術後再発を防ぐためにも、食べ過ぎ・暴飲暴食を避け、腹部に急な負担をかけない食習慣が望ましいでしょう。なお、腸閉塞は癒着が原因の場合、手術自体が新たな癒着を作る恐れがあるため、外科医も手術は最終手段ととらえています。術後も定期的に腹部の調子を観察し、異変があれば早めに受診してください。腹腔鏡手術を行った場合は傷が小さく再発率も低いとされますが、いずれの場合も「何かおかしい」と感じたら専門医に相談することが重要です。
編集部まとめ

腸閉塞の治療は、軽度であれば保存療法(絶食・点滴・腸管減圧)で改善を待つことが多いですが、1週間程度たっても改善せず、絞扼の疑いがあれば手術へ移行します。手術では原因部分の癒着を剥離し、必要であれば壊死部位の切除・再吻合を行います。保存療法でも手術でも、治療中は医師の指示をよく守り、自己判断の飲食や薬の使用を避けることが大切です。腸閉塞は再発することもある病気ですが、適切な治療と生活上の注意を守れば日常生活へ復帰できます。痛みや腹部異常が続く場合には我慢せず速やかに受診し、担当医とよく相談しながら治療に取り組みましょう。
参考文献
北里大学北里研究所病院 腸閉塞外来「腸閉塞外来 基本情報」
『急性腹症診療ガイドライン』第2版(2021年)
日本消化器外科学会・日本外科学会合同『イレウス診療指針』

