ジギングからテンヤにチェンジ 入れ食い王・ヨッシー爆誕
しかし、電動リール+テンヤに替えてからのヨッシーは凄まじかった。
ヨッシーなりに試行錯誤を重ね、この日の結論に達してからは、まさに竿とリールが火を噴く勢いで釣りまくったのである。
もはやタカハシゴーのメモでは、フォローしきれなかった。
ほかが沈黙している場面でも、一人でバッタバッタとタチウオを釣りまくるヨッシー。
本来であれば鬼気迫るシーンでもおかしくないはずだが、巻きは電動リールのデッドスローに任せ、ときに釣り座に腰かけたまま小さく竿を動かすヨッシーの姿からは、迫力というものが感じられなかった。
だが、本当に強かった。
船長いわく「まあまあシブかったですね」と振り返るこの日、独り勝ちと言ってもいいほどの釣れっぷりで、20本の釣果をもって相模湾タチウオを完全制覇したのである。
「船長の指示ダナどおりにテンヤを落として、早めの動きからストップ&ゴーしてみたけど、全然アタらなかったんだ。今日の正解は、デッドスローで巻き上げ続けながらのバイブレーション釣法だね。E2F取材班のみんなやほかのお客さんの様子を見てると、バラシが多かった。たぶんアタリの数自体はおれもほかのみんなも変わらなかったと思うけど、おれは取りこぼしが少なかったんだよね」
つまりヨッシーは、ラクチンだから電動リールを選んだのではない。
より多くの釣果を狙っての戦略だったのである。
「デッドスローで巻き上げながらたたき続けるのは人間にはなかなか難しいけど、電動リールなら簡単だからね。深いから電動リールってわけじゃないんだよ。釣りの幅を広げてその日の状況に応じるための電動リールって感じかな。はっはっはっ」
余裕の笑みである。
ぼやきまくっていたE2F取材班の手巻きリール組は、「男は黙ってリール巻く」的な妙なこだわりに負け、釣果を逃してしまったのだ。
……と言いつつ、彼らも彼らなりに頑張っていた。
トモキ、イチロウ、タカハシゴーともに6~7本の相模湾タチウオを手にしていたのだ。
ヨッシーの半分以下とはいえ、初の相模湾タチウオと思えばまずまずの釣果である。

指幅2.5~3本級のタチウオがメイン
相模湾のタチウオが持つ独特のクセとは何?
乗船前は「今日はジグで通しますよ!」とキッパリ言い切っていたトモキだが、アタリの多いテンヤの魔力にすぐに負け、宗旨変えしていた。
そして手巻きテンヤながら、ヨッシーとまったく同じことを感じていた。
「ジグはパターンが見つけられず、モヤモヤしてたんです。でもテンヤはタナと動きさえ合っていればアタリは出た。だからテンヤにスイッチです(笑)」とトモキ。
イチロウは、「空回りしちゃいましたね……」とシブい表情を浮かべる。
「テンヤに食ってくる時間帯に、うまく乗せられなかった。アタリは出てたんですけどね~。ヨッシーやトモキの話を聞くと、テンヤを止めていたからかもしれない。水深が深かったから、合わせも決まらなかったのかなぁ……」
その言葉を受けて、ヨッシーが説明する。
「今回攻めた80~90m前後の深さなら、合わせが決まらないことはないと思う。イチロウさんはパワフルな合わせをするしね。それより、タチウオが変な角度でテンヤを食ってきてたような気もするんだ。タチウオって地域によってキャラクターがだいぶ変わる魚なんだけど、相模湾のタチウオにも独特のクセがあった。ジギングでも「ここで食ってくるだろう」という場面で口を使わなかったり、止めを作るとバラシが多くなったりね……。でもこういう地域性を見つけるのがタチウオ釣りの面白さ。関東圏の人なら、東京湾だけじゃなくて今回の相模湾とか、色んな海域のタチウオを攻略するのも楽しいと思うよ」
そんな中、相模湾タチウオの魚影自体は濃そうだという手応えを、ヨッシーは感じた。
「今日はちょっとシブめだったけど、それでもテンヤで20本釣ってるからね。活性が高いときなんかはジグが落ちないんじゃないかな(笑)」
特筆すべきは、永遠の初心者であり意固地のカタマリでもあるタカハシゴーが、だれよりも長くジギングを続け、3本ほどタチウオを釣ったことだ。
最終的にはテンヤの魔力に負けて4本を追加したタカハシゴーだったが、決して上手ではない彼がジギングとテンヤでそこそこの釣果を出したということは、相模湾タチウオのポテンシャルの高さを示している。
「色んな海域で色んなクセのあるタチウオを釣ることは、自分の引き出しを増やすことでもある。今日も勉強になったよ」
電動リールとともに颯爽と去って行くヨッシーなのだった。

食いが立つとジグでもテンヤでもこのとおり。トリプルヒットを達成

大中小サイズのイワシを持ち込んで色いろ試してみたが当日は大きなエサのほうが食いがよかった。テンヤは50号を使用

やけにお腹がプックリしてると思ったらカマスが丸ごと入っていた

