卵巣がんは初期症状が出にくく、見つかったときには進行がんになっているケースが少なくありません。
卵巣がんの患者数は増加傾向にあり、毎年新たに13,000人程が診断され5,000人程度が死亡すると報告されています。
卵巣にがんが現局している場合、5年後に生きている確率が90%を超えますが、一方でほかの臓器に転移している場合には20%台と生存率が低くなる傾向があります。
早期発見が難しいがんの一つではありますが、体からのSOSを見逃さないために卵巣がんについて学んでいきましょう。

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。
卵巣がんとは?
卵巣とは子宮に付属している卵子を育てるクルミ大の器官です。卵巣を形成している細胞の一部ががん化したものを卵巣がんと呼びます。
卵巣の表面を形成している卵巣上皮細胞・将来卵子となる胚細胞・性ホルモンを分泌する細胞など多様な細胞からできており、そのすべての細胞ががん化する可能性を持っているのです。そのため、ひとことで卵巣がんといってもその種類は多くあります。
それぞれ治療法が違うため卵巣がんが疑われた際には専門の医師に相談しましょう。
卵巣がん発覚のきっかけは?
卵巣がんは発見しにくいといわれていますが、では卵巣がんの患者さんはどのようなことをきっかけにして受診し卵巣がんと診断されたのでしょうか。
服のウエストがきつくなった
卵巣がんは進行すると腹膜というお腹の臓器を覆っている膜にがん細胞が転移する腹膜転移を起こし、この状態になると腹水という水がお腹の中に溜まります。腹水が増えてくるとお腹が膨らんできます。
最初は服のウエストがきつくなってきて太ったと思いダイエットを始める方もいますが、お腹だけが膨らんできて腕や脚が太っていない場合には病院で受診しましょう。また、腹水によって横隔膜や肺が圧迫され呼吸困難や咳の症状で受診される方もいます。
食欲がなくなった
卵巣がんに限った症状ではありませんが、がんができると食欲が低下するのはよく見られる症状です。がん細胞や免疫細胞から放出される炎症を引き起こす物質が脳の食欲を制御する部分の働きを邪魔することによって食欲が低下します。
加えて卵巣がんでは、先でお話しした腹水が物理的に胃や腸を圧迫することによって、食欲低下の原因となるのです。すぐに満腹になってしまう・嘔気や嘔吐がある・味がおいしく感じられないといった症状がある場合には、病院で受診しましょう。
下腹部にしこりが触れた
卵巣は体の深部にある親指大の臓器のため、通常体の表面から触ってその存在がわかることはありません。しかし卵巣が体表から触ってもわかる程巨大化した場合には卵巣がんを含めた腫瘍性病変である可能性を考えます。触っても痛みが少ないことがほとんどです。
ほかに下腹部にしこりが触れる病気としては、子宮筋腫・大動脈瘤・大腸がんなどがあります。主に婦人科疾患や消化器疾患が中心ですが、月経不順や過多月経などほかの女性特有の症状も合併している場合には女性診療科で受診してください。

