長期間にわたる大麻使用は、呼吸器系や生殖機能、ホルモン分泌に深刻なダメージを及ぼす可能性があります。慢性的な使用による健康リスクを理解することは、将来的な疾患の予防につながります。継続使用の危険性を医学的に検証します。

監修医師:
公受 裕樹(医師)
金沢大学医学部卒業
精神科単科病院を経て、現在都内クリニック勤務
精神保健指定医、産業医
【免許・資格】
精神保健指定医、産業医
大麻使用による身体への長期的影響
長期使用は呼吸器や生殖系などに慢性的な障害を引き起こすことがあります。大麻の継続使用が体へ与える長期的リスクを確認しましょう。
呼吸器系への慢性影響
長期間にわたる大麻の喫煙は、呼吸器系に深刻な慢性的影響をもたらします。慢性気管支炎の発症率が非喫煙者と比較して有意に高く、持続性の咳嗽、痰の産生増加、呼吸困難などの症状が進行性に悪化します。
気道上皮の線毛機能が障害され、気道浄化能力が低下することで、細菌やウイルス感染に対する抵抗力が減弱します。肺機能検査では、1秒量(FEV1)や努力性肺活量(FVC)の低下が認められ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)様の病態を呈することがあります。
組織学的検査では、気管支上皮の異形成、基底膜の肥厚、炎症細胞浸潤などの変化が観察されます。気胸の発症リスクも上昇することが報告されており、特に若年男性において自然気胸の頻度が高まります。これは、大麻喫煙時の深い吸入と息止めという行動パターンが肺胞壁に過度の圧力をかけることが一因と考えられています。
生殖系と内分泌系への長期影響
大麻の長期使用は、生殖系と内分泌系に広範囲な影響を与えます。男性では、テストステロンの分泌低下、精子数の減少、精子運動能の低下、異常精子の増加などが報告されています。これらの変化は、視床下部-下垂体-性腺軸へのTHCの直接的作用によるもので、男性不妊の原因となる可能性があります。
女性では、月経周期の乱れ、排卵障害、エストロゲンとプロゲステロンのバランス異常が生じることがあります。妊娠中の使用では、胎児の発育に悪影響を及ぼすリスクが高く、低出生体重、早産、神経発達障害などとの関連が報告されています。
内分泌系全体への影響として、コルチゾールの分泌パターンの変化、成長ホルモンの分泌異常、甲状腺機能への影響などが報告されています。これらのホルモン変化は、免疫機能の低下、骨代謝の異常、糖代謝への影響などを通じて、全身の健康状態に長期的な影響を与える可能性があります。
まとめ
大麻の使用は多様な健康被害をもたらし、依存症のリスクを伴う深刻な問題です。身体的影響から精神的影響、社会機能への障害まで、その影響は多岐にわたります。しかし、適切な治療と支援により回復は可能であり、早期の相談と治療開始が重要です。もし大麻使用でお悩みの方や、ご家族に使用者がいらっしゃる方は、まずは精神保健福祉センターや専門医療機関にご相談ください。一人で抱え込まず、専門家と共に回復への道筋を見つけていくことが大切です。
参考文献
警察庁 大麻対策のためのポータルサイト
厚生労働省 令和7年3月1日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
政府広報オンライン 大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します

