大麻使用直後には、多幸感やリラックス感だけでなく、不安やパニックなど急性の精神症状が現れることがあります。短時間で変化する気分や認知機能の乱れを知ることで、大麻の心理的リスクをより正確に理解できます。

監修医師:
公受 裕樹(医師)
金沢大学医学部卒業
精神科単科病院を経て、現在都内クリニック勤務
精神保健指定医、産業医
【免許・資格】
精神保健指定医、産業医
大麻使用による精神的影響の短期症状
大麻使用直後には、気分の高揚や不安の増大など多様な精神変化が生じます。短期間で現れる精神的症状について整理します。
急性精神症状と気分変調
大麻使用による急性の精神症状は、使用後数分から30分以内に出現し、通常2-6時間持続します。一般的な症状は多幸感とリラックス感ですが、これらは必ずしもすべての使用者に現れるわけではありません。
個人の精神状態、使用環境、THC濃度により症状は大きく変動し、時として予期しない精神症状が出現することがあります。不安症状の急性増悪は比較的頻繁に認められ、パニック発作様の症状を呈することもあります。
心拍数増加、発汗、震え、呼吸困難感、死への恐怖などが組み合わさって現れ、医療機関への緊急受診に至ることもあります。妄想的思考や疑心暗鬼も急性期に生じやすい症状です。周囲の人が自分を監視している、話しかけられていると感じる、時間や空間の感覚が歪むなどの体験が報告されています。
認知機能の一時的変化
大麻使用による認知機能への急性影響は多岐にわたり、日常生活や学習、労働能力に直接的な支障をきたします。作業記憶の著しい低下により、新しい情報を保持し操作する能力が損なわれます。
例えば、電話番号を覚える、簡単な計算を暗算で行う、会話の内容を追跡するなどの基本的な認知作業が困難となります。注意機能の障害も顕著で、選択的注意、分割注意、持続的注意のすべてが影響を受けます。
実行機能の障害により、計画立案、問題解決、意思決定などの高次認知機能が低下します。目標設定から実行、評価に至る一連のプロセスが円滑に進まず、衝動的な行動や不適切な判断を行いやすくなります。特に危険を伴う活動(運転、機械操作など)において、事故リスクが著しく増加することが知られています。
まとめ
大麻の使用は多様な健康被害をもたらし、依存症のリスクを伴う深刻な問題です。身体的影響から精神的影響、社会機能への障害まで、その影響は多岐にわたります。しかし、適切な治療と支援により回復は可能であり、早期の相談と治療開始が重要です。もし大麻使用でお悩みの方や、ご家族に使用者がいらっしゃる方は、まずは精神保健福祉センターや専門医療機関にご相談ください。一人で抱え込まず、専門家と共に回復への道筋を見つけていくことが大切です。
参考文献
警察庁 大麻対策のためのポータルサイト
厚生労働省 令和7年3月1日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
政府広報オンライン 大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します

