多くの疫学研究において、コーヒーを習慣的に飲用することで特定の疾患リスクが低減する可能性が報告されています。2型糖尿病や肝臓疾患など、生活習慣と深く関わる病気に対して、コーヒーがどのような予防的役割を果たすのか、科学的根拠に基づいて説明します。ただし、予防効果には個人差があることも理解しておく必要があります。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
コーヒーがもたらす疾病予防効果
複数の疫学研究により、コーヒーの習慣的な摂取が特定の疾患リスクを低減させる可能性が報告されています。ここでは予防効果について説明します。
2型糖尿病リスクの低減
大規模な疫学研究では、コーヒーを1日3杯から4杯飲用する方は、ほとんど飲まない方と比較して2型糖尿病の発症リスクが約25パーセント低いという結果が示されています。この効果はカフェインだけでなく、クロロゲン酸などのポリフェノール類による複合的な作用と考えられています。
クロロゲン酸は、食後の血糖値上昇を抑制するメカニズムを持っています。具体的には、小腸でのブドウ糖の吸収を遅らせ、肝臓での糖の放出を調整する働きがあります。さらに、インスリン感受性を改善する効果も報告されており、これらの作用が糖尿病予防につながっていると推測されています。ただし、砂糖やミルクを大量に加えた飲み方では、これらの効果が相殺される可能性があるため注意が必要です。
肝臓の健康維持への貢献
コーヒーの摂取は肝臓の健康にも良い影響を与える可能性があります。複数の研究で、コーヒーを飲む習慣がある方は、肝硬変や肝臓がんのリスクが低い傾向にあることが示されています。特に、慢性肝疾患を持つ方において、コーヒーの摂取が肝機能の悪化を抑制する可能性が注目されています。
肝臓では、脂肪の代謝や有害物質の解毒など、多くの重要な機能が営まれています。コーヒーに含まれる成分は、肝細胞の炎症を抑制し、線維化の進行を遅らせる作用があると考えられています。また、肝臓での脂肪蓄積を減少させる効果も報告されており、非アルコール性脂肪性肝疾患の予防にも役立つ可能性があります。こうした保護作用は、カフェインを含むコーヒーだけでなく、カフェインレスコーヒーでも一部認められることから、カフェイン以外の成分も重要な役割を果たしていると推測されます。
まとめ
コーヒーには、2型糖尿病や肝疾患、パーキンソン病のリスク低減といった健康効果がある一方で、睡眠障害や胃腸への負担、血圧上昇といったデメリットも存在します。適切な摂取量は1日3杯から4杯程度とされていますが、個人差が大きいため、自身の体調や反応を観察しながら調整することが重要です。ダイエット効果については、カフェインによる脂肪燃焼促進や代謝向上が期待できるものの、コーヒーだけで体重が減少するわけではありません。バランスの取れた食事と運動を基本とし、コーヒーを補助的に活用することで、健康的な生活をサポートできるでしょう。気になる症状がある場合や持病をお持ちの方は、医療機関にご相談ください。
参考文献
厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
国立がん研究センター「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」
全日本コーヒー協会「コーヒーと健康」
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」

