日本が開発する「治療ワクチン」- サルで実証された希望
「私たちの目標は、『治療から治癒へ』の転換です」
保富氏は力強く語ります。
現在の抗レトロウイルス薬は優れた効果を持ちますが、生涯服薬が必要です。
「アフリカの多くの国では、薬の供給が不安定です。また、生涯にわたる医療費負担は、個人にとっても社会にとっても重大な問題です」
保富氏らが開発している治療ワクチンは、この問題を根本から解決する可能性を秘めています。
「私たちは、エイズウイルスの特定の遺伝子を削除した弱毒化ウイルスをベースに、免疫を活性化する成分を加えたワクチンを開発しました。このワクチンは、すでに感染している人の体内でウイルスを抑制することを目指しています」
驚異的な実験結果 – 薬なしでウイルスを抑制
サルを用いた治療ワクチンの実験の結果は、研究者たちの予想を超えるものでした。保富氏は結果について、下記のように発言しています。
「7頭のサルに治療ワクチンを接種し、その後、抗ウイルス薬を中断しました。通常なら、薬をやめれば必ずウイルスが再増殖します。しかし、ワクチンを接種したサルでは、一時的にウイルス量が上昇した後、自然に抑制されました」
さらに驚くべきことに、4頭では完全にウイルスが排除され、さらに2頭のサルでは、ウイルスが検出されない状態になりました。この2頭は「機能的治癒」と呼べる状態です。
この成果は、薬に頼らずにHIVをコントロールできる可能性を示しています。
「もし人間でも同じ効果が得られれば、患者さんは薬から解放されます。これは革命的な変化をもたらすでしょう」

