オーバードーズは医薬品を治療目的の用量を超えて摂取する行為を指します。近年、若年層を中心に市販薬や処方薬の過量摂取による救急搬送が増加しており、社会的な問題となっています。ここでは、オーバードーズの基本的な定義と、なぜこの問題が注目されているのか、その背景について詳しく解説します。

監修医師:
日浦 悠斗(医師)
福井大学医学部卒業。血清蛋白質と精神疾患の関係について研究をおこなう。日本精神科学会専門医。
オーバードーズとは何か―定義と発生の背景
オーバードーズは医薬品を治療目的の用量を超えて摂取する行為を指します。オーバードーズの基本的な定義と、なぜこの問題が社会的に注目されているのかを説明します。
オーバードーズの医学的定義
オーバードーズとは、医薬品を添付文書や医師の指示で定められた用量を超えて摂取することを意味します。意図的に過量摂取する場合だけでなく、誤って多く服用してしまう場合も含まれますが、近年問題となっているのは主に意図的な過量摂取です。
対象となる医薬品は多岐にわたります。市販の風邪薬や鎮痛薬、咳止め薬などの一般用医薬品から、医師が処方する睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬などの向精神薬まで、さまざまな種類の薬物が乱用されています。特に市販薬は入手が容易であるため、若年層の間で問題となるケースが増加しています。
医学的には、薬物の血中濃度が治療域を超えて中毒域に達することで、本来の治療効果とは異なる有害な作用が現れます。摂取量が多いほど、また短時間に大量摂取するほど、身体への負担は大きくなる傾向があります。薬物の種類によって中毒症状は異なりますが、いずれも生命を脅かす危険性があることを理解しておく必要があります。
オーバードーズが増加している社会的背景
厚生労働省の調査によると、10代〜20代の若年層における市販薬の乱用が増加傾向にあります。この背景には、複数の社会的要因が絡み合っています。まず、インターネットやSNSを通じて薬物乱用に関する情報が拡散しやすくなっている点が挙げられます。特定の市販薬を過量摂取することで得られる感覚について、若者たちが情報交換する場が形成されています。
また、市販薬は処方箋が不要で、ドラッグストアやインターネット通販で手軽に購入できます。この入手の容易さが、薬物乱用への心理的ハードルを下げている側面があります。違法薬物と比較して「市販薬だから安全」という誤った認識を持つ方も少なくありません。しかし、市販薬であっても過量摂取は危険であり、適正使用を逸脱すると深刻な健康被害につながる可能性があります。
さらに、精神的なストレスや孤独感、自己肯定感の低さといった心理的要因も見逃せません。学業や対人関係の悩み、家庭環境の問題などを抱える若者が、現実からの一時的な逃避や自傷行為の一形態として薬物を過量摂取するケースがあります。SNSで仲間を見つけることで孤独感が和らぐという側面もあり、集団心理が働いて行動がエスカレートすることもあります。ただし、これらの背景は複雑に絡み合っており、単一の要因では説明できないことも多く、個々の状況に応じた理解と対応が求められます。
まとめ
オーバードーズは市販薬や処方薬を過量摂取する行為で、身体・精神の両面に深刻な影響を及ぼす可能性があります。治療には身体管理、離脱症状への対応、認知行動療法などの心理社会的アプローチが必要です。精神保健福祉センターや依存症外来など、専門的な相談先を活用し、早期に適切な支援を受けることが回復への鍵となります。
オーバードーズに関する悩みや不安がある場合は、一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡してください。適切な支援を受けることで、回復への道を歩むことができます。
参考文献
厚生労働省:薬物乱用防止に関する情報
国立精神・神経医療研究センター:薬物依存症について
精神保健福祉センター:依存症相談窓口

