●損害賠償請求への対応も弁護士でなければできない
本事例でさらに問題なのは、退職後に会社から届いた損害賠償請求への対応です。
会社からの請求書には、通常、請求の具体的な理由と根拠が記載されています。まずはその理由を正確に把握し、請求が法的に正当なものか、不当なものかを判断することが重要です。
会社が訴訟(裁判)などを起こしてきた場合、放置してはいけません。放置すると、裁判で欠席裁判となり、会社の主張がそのまま認められてしまう危険があります。 およそ通らないような請求でも、欠席したせいで認められた、ということになりかねません。
この会社からの請求について、本人に代わって会社とやり取りし、法的な反論や交渉を行う行為は、弁護士法72条に定められた弁護士のみが行える法律事務にあたります。民間の退職代行業者にこれらの対応を依頼することは法律違反(非弁行為)となり、業者自身も対応できません。
このような場合、民間業者に退職代行を依頼した方は、改めて弁護士を探して依頼し直す必要があるのです。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

