コーヒーは脳の働きにも影響を与えることが知られています。短期的な覚醒作用だけでなく、長期的に飲み続けることで認知機能の維持に貢献する可能性が示唆されています。パーキンソン病のリスク低減や記憶力への作用など、コーヒーが脳の健康に与える影響について、現在わかっている知見を解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
コーヒーの認知機能への影響
脳の健康維持において、コーヒーが果たす役割についても研究が進んでいます。短期的な覚醒効果だけでなく、長期的な認知機能への影響も注目されています。
パーキンソン病リスクの低減
複数の疫学研究により、コーヒーを定期的に飲用する方は、パーキンソン病の発症リスクが低い傾向にあることが報告されています。パーキンソン病は、脳内のドーパミン産生神経細胞が減少することで発症する神経変性疾患です。カフェインには、ドーパミン神経系を保護する作用があると考えられており、これが予防効果につながっている可能性があります。
ただし、この効果には男女差があることも指摘されています。いくつかの研究では、男性においてより顕著なリスク低減が見られる一方、女性では効果が限定的である可能性が示唆されています。この差異の理由は完全には解明されていませんが、ホルモンの影響や代謝の違いが関係している可能性があります。現時点では、コーヒーの摂取だけでパーキンソン病を完全に予防できるわけではなく、生活習慣全体を整えることが重要です。
記憶力と集中力の向上
カフェインは、短期的に記憶力や注意力を高める効果があることが実験的に確認されています。特に、睡眠不足時や疲労時において、認知機能の低下を補う働きが期待できます。カフェインは脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの放出を促進し、これらが脳の活性化に寄与しています。
長期的な影響については、適度なコーヒー摂取が認知機能の低下を緩やかにする可能性が示唆されています。いくつかの観察研究では、高齢者においてコーヒーを飲む習慣がある方は、認知症の発症リスクが低い傾向が見られました。しかし、因果関係を明確に証明するにはさらなる研究が必要であり、現段階では予防効果を保証するものではありません。それでも、適切な量のコーヒーを楽しむことは、脳の健康維持に一定の貢献をしている可能性があります。
まとめ
コーヒーには、2型糖尿病や肝疾患、パーキンソン病のリスク低減といった健康効果がある一方で、睡眠障害や胃腸への負担、血圧上昇といったデメリットも存在します。適切な摂取量は1日3杯から4杯程度とされていますが、個人差が大きいため、自身の体調や反応を観察しながら調整することが重要です。ダイエット効果については、カフェインによる脂肪燃焼促進や代謝向上が期待できるものの、コーヒーだけで体重が減少するわけではありません。バランスの取れた食事と運動を基本とし、コーヒーを補助的に活用することで、健康的な生活をサポートできるでしょう。気になる症状がある場合や持病をお持ちの方は、医療機関にご相談ください。
参考文献
厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
国立がん研究センター「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」
全日本コーヒー協会「コーヒーと健康」
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」

