小脳出血を発症する原因
高血圧と動脈硬化
長期間にわたる高血圧によって、脳の中の細い動脈(細動脈)の壁が硬く、もろくなる(動脈硬化)ことが、小脳出血の最大の原因です。血圧が高い状態が続くと、小脳に栄養を送る特に細い血管が傷つき、破れやすくなります。
日本の研究では、血圧が140/90mmHg以上の人は、正常な血圧の人に比べて、脳出血を起こす危険が約2倍高いと報告されています。高血圧による出血は突然起こり、激しいめまい・嘔吐・意識の低下が短時間で進むことが特徴です。
脳血管奇形(脳の血管の異常)・腫瘍・外傷
比較的若い人の小脳出血では、脳動静脈奇形や海綿状血管腫といった脳の血管の生まれつきの異常が原因となることがあります。また、小脳にできた腫瘍が、一部壊れたり出血したりすることもあります。交通事故や転倒などによる頭部の外傷で、小脳に出血が生じることもあります。
血管の異常による出血は、比較的若い年代で発症し、頭痛や意識障害が繰り返し起こる場合があります。外傷性の出血では、けがの直後に意識障害やバランス感覚の低下が見られます。
血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)や血液の病気
血液を固まりにくくする薬(ワルファリンやDOACと呼ばれる直接経口抗凝固薬、抗血小板薬など)を服用していると、出血しやすい状態になり、出血のリスクが高まります。研究でも、薬が原因で血液が固まりにくくなっている状態が、小脳出血の治療後の経過を悪くする要因(予後不良因子)と報告されています。また、血小板が少ない病気や血友病などの血液の病気でも、出血が起こりやすくなります。
これらの薬を服用している人が、軽く頭をぶつけた後にふらつきや頭痛、嘔吐などがあれば、すぐに病院で出血を疑って検査をします。血液の病気がある方は特に注意が必要です。
小脳出血を発症しやすい人の特徴
中高年以上の男性、肥満で血圧高めの人
日本の大規模な研究では、小脳を含む脳の深い部分の出血は、女性よりも男性でリスクが高いと報告されています(男性は女性の約1.85倍)。発症年齢は50〜70代が多く、高齢になるほどリスクが高まります。ただし、アミロイドという物質が血管にたまることによる出血は、高齢者に多く、男女差は少ないとされています。
肥満そのものは、小脳出血に直接的な関係はないかもしれませんが、肥満は高血圧や糖尿病などを引き起こし、結果的に脳出血のリスクを高めます。BMIが25以上の肥満傾向で、血圧が高い人は特に注意が必要です。
継続的に大量の飲酒をする人
継続的に大量の飲酒をする習慣は、脳出血を含む脳の深い部分の出血と強く関連しています。血圧をしっかり管理することが予防の基本です。
週に150〜300g以上のエタノール(アルコール)を摂取している人(日本酒に換算して1日に2〜3合を毎日飲む程度)は、小脳出血のリスクが約3倍に高まると報告されています。お酒は血圧を上げるだけでなく、血液を固める血小板の働きも弱めてしまうため、適量(週に100g程度以下)に抑えましょう。
喫煙や糖尿病は、小脳出血との明確な関係は示されていませんが、動脈硬化の進行を防ぐためにも、禁煙や血糖値の管理は大切です。血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、定期的な血液検査を受け、出血の症状に特に注意してください。

