医師からの意外なひと言
陣痛促進剤を投与してから約2時間後、子宮口も全開大になり、いよいよ出産。しかしいざ「いきんで」と言われたときに、どのようにすればいいのかわからず、まったくじょうずにいきめませんでした。するとそれを見ていた医師が「へたくそ! そんなんじゃ生まれないぞ!」とひと言。
私はこの言葉を聞いて内心「へたくそって何!?」と思いましたが、医師はそのあとこう続けました。「わかるか? 今一番つらいのは赤ちゃんなんだぞ! ちゃんと呼吸してあげないと!」。
どうしてこんなにつらい思いをしながら怒られなきゃいけないのか、このときはまったく理解できませんでした。そんなふうに言われてもうまくはいきめず、やっとの思いで無事に出産できました。
「ごめんね」と謝ってくれた助産師さん
無事に出産できてよかったものの、「こんなにいきむのが下手だったなんて」と自分が情けなくなってしまいました。
それを察してか、私のお産を介助してくれた助産師さんが、ベッドで休んでいる私のもとへ来て「ごめんね。先生、へたくそなんて言うことないのにね。でも赤ちゃんが出てくるときって、お母さんがしっかり呼吸してあげないと、赤ちゃんが苦しくなっちゃうの。だからもし次に出産するようなことがあったら、落ち着いて呼吸を整えてあげることを意識してみてね」と言ってくれました。
陣痛の痛みに耐えられるかどうかなど、自分の心配しかしていなかった私。出産の瞬間、赤ちゃんも苦しくなるなどと思いもしなかったので、助産師さんの言葉を聞いて、出産は本当に命懸けなんだと気づかされました。
助産師さんのフォローがあったおかげで、「へたくそ!」という言葉はこの医師なりの愛であり、赤ちゃんへの想いだったのかなとも思いました。それから私は3人の出産を経験しましたが、「出産は赤ちゃんも苦しいんだ」ということを念頭に置きつつ、落ち着いて臨めました。
今となってはあのきつい言葉にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:夏川さほ/女性・ライター。10歳、8歳、3歳、0歳の男女4人の母。ステップファミリー。元コンビニ店員だが、第4子出産を機に退職し、現在はフリーライターとして活動中。自身の子育て体験談や商品レビューなどを執筆中。
作画:こちょれーと
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

