市販薬の飲みすぎで“一生透析”。オーバードーズが招く取り返しのつかない結末とは

市販薬の飲みすぎで“一生透析”。オーバードーズが招く取り返しのつかない結末とは

オーバードーズを繰り返すことで、身体には長期的かつ回復困難な障害が蓄積されていく危険性があります。肝臓や腎臓といった重要な臓器への慢性的なダメージや、脳の構造・機能への影響など、不可逆的な変化が生じることも少なくありません。ここでは、慢性的な身体影響について解説します。

日浦 悠斗

監修医師:
日浦 悠斗(医師)

福井大学医学部卒業。血清蛋白質と精神疾患の関係について研究をおこなう。日本精神科学会専門医。

オーバードーズによる慢性的な身体への影響

オーバードーズを繰り返すことで、身体には長期的かつ回復困難な障害が蓄積されていく可能性があります。ここでは慢性的な身体影響について解説します。

臓器障害の進行と不可逆的なダメージ

繰り返しのオーバードーズは、肝臓や腎臓といった解毒・排泄を担う臓器に慢性的な負担をかけます。アセトアミノフェンを含む薬剤を長期間にわたって過量摂取すると、肝臓の線維化が進行し、重症例では肝硬変に至ることがあります。肝硬変は肝臓の機能が著しく低下した状態で、腹水や肝性脳症などの症状を引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。

腎臓への影響も深刻です。NSAIDsや一部の風邪薬に含まれる成分を長期的に過量摂取すると、慢性腎臓病(CKD)を発症するリスクが高まる可能性があります。腎機能が低下すると、体内の老廃物を適切に排泄できなくなり、尿毒症を引き起こす場合があります。進行した腎不全では透析療法や腎移植が必要となり、患者さんの生活は大きく制限されます。

また、消化管への慢性的なダメージも見逃せません。胃粘膜の障害が繰り返されることで、慢性胃炎や胃潰瘍が形成される場合があります。これらは出血や穿孔といった合併症を引き起こす可能性があり、緊急手術が必要になることもあるでしょう。腸管への影響では、吸収不良や慢性的な下痢が生じ、栄養状態の悪化を招くことがあります。

神経系への長期的影響と認知機能の低下

中枢神経系に作用する薬物を長期間乱用すると、脳の構造や機能に変化が生じることが研究で明らかになっています。特にベンゾジアゼピン系薬剤や抗コリン作用を持つ薬物の長期使用は、記憶障害や注意力の低下、情報処理速度の遅延といった認知機能の低下をもたらす可能性があります。

末梢神経系への影響も報告されています。一部の薬物は末梢神経障害を引き起こし、手足のしびれや痛み、運動機能の低下をもたらすことがあります。これらの症状は不可逆的であることも多く、長期的な機能障害として残存する場合があります。

さらに、若年期の薬物乱用は、脳の発達過程に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。思春期から青年期にかけては、前頭前野などの高次機能を司る脳領域が成熟する重要な時期です。この時期に薬物乱用を行うと、判断力や衝動制御、感情調節といった機能の発達が阻害され、将来的な精神疾患のリスクが高まる懸念があります。ただし、これらの長期的影響に関する研究はまだ途上であり、すべての方に同様の影響が現れるわけではありません。早期に適切な支援を受けることで、回復の可能性も期待できます。

まとめ

オーバードーズは市販薬や処方薬を過量摂取する行為で、身体・精神の両面に深刻な影響を及ぼす可能性があります。治療には身体管理、離脱症状への対応、認知行動療法などの心理社会的アプローチが必要です。精神保健福祉センターや依存症外来など、専門的な相談先を活用し、早期に適切な支援を受けることが回復への鍵となります。
オーバードーズに関する悩みや不安がある場合は、一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡してください。適切な支援を受けることで、回復への道を歩むことができます。

参考文献

厚生労働省:薬物乱用防止に関する情報

国立精神・神経医療研究センター:薬物依存症について

精神保健福祉センター:依存症相談窓口

配信元: Medical DOC

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