■今日って「飲み会だよね?」


鈴木さんは、仕事先での飲み会のタイミングが合わず、一度も参加したことがなかった。飲みの席はあまり得意ではないけれど、「こういうコミュニケーションも大事だし」一度は出席しておこうと、初めて足を運ぶ。仲間と楽しく飲んでいると、リーダーから「ところで、これ」とあるものを渡された。


見ると、それは仕事中の伝票。「鈴木さん、あなた先輩なんだから気をつけてあげないと」と、いきなり今日あった堺さんのミスについて注意された。そこから接客業についてうんたらかんたら話され、「今日って飲み会だよね!?」と、思う鈴木さん。


業務外に聞きたくない仕事の話をされ、楽しみにしていた飲み会のテンションもダダ下がり。「三千円も払ってこれかよ!仕事中に言えよ!!」と、鈴木さんは内心で悪態をつく。最後にリーダーから「気をつけてね!」といわれた際には、「職場の飲み会には参加しないように気をつけます♡」と、いうオチがつく。
若い子が「飲みに行かない理由」や「行きたくない理由」はなぜか。誘う側は考えてみたことがあるだろうか?楽しくないのに飲み代を払う理由がわからないのかもしれない。
■吞みニケーションを全くしないわけじゃない「楽しい飲み会のほうを選んでいるだけだよ」

――まずは、制作の経緯を教えてください。
これまで読者さんからさまざまなブラック体験談が寄せられました。その中で「飲み会」というワードが何回か出ました。 漫画『ブラックマ』は、主に人間関係や職場の闇を取り上げていまして、いつか企業にはつきものの「飲み会」をテーマに描いてみたいと思っていました。

――仕事の飲み会でお説教、ありますよね。本作は、体験談でしょうか?
そうですね。わたしも飲み会で上司にお説教、いえ有難い訓示を頂いたことがあります(笑)。

――実体験を漫画に落とし込むにあたり、こだわったところやポイントがあれば教えてください。
今回の漫画のラストでは、主人公の鈴木さんが「推しの配信を観ながら楽しいお酒を吞む」という場面で終わりました。 「会社だけがコミュニティではない」「会社の飲み会に参加しない若い世代が、吞みニケーションを全くしないわけでない」「楽しい飲み会のほうを選んでいるだけだよ」というメッセージを込めました。
あと今回の話に限ったことではないのですが、実体験をそのまま漫画にするのではなく、いろいろな要素を加えたり設定をガラッと変えたりして、読む人が自分と重ねて傷つかないように「創作」として成立させています。漫画は「エンタメ」。社会風刺はいいけれど、特定の個人を非難するものであってはなりません。エッセイにならないよう、そこは気をつけています。

――漫画を描く上でこだわっていることを教えてください。
最近は、できるだけハッピーエンドか希望をもてる形で終わらせるよう心掛けています。 リアルの社会は厳しいものです。「物語の中でくらい幸せになってほしい」と思いながら漫画を描いています。

――そのほか『ブラックマ』というブラック企業を描いた漫画もありますが、こちらはどのような作品ですか?
一言で表すと「気弱な社員がブラックマに憑かれて強くなる」というお話です。営業部の女子社員・立花ゆう子が上司のパワハラに悩むシーンから始まります。「仕事ができないために上司に怒られる日々」苛烈な言葉に立花さんは思考を止めてしまい、問題が解決しない…という負のループにおちいります。
そんなある日、ブラックマというぬいぐるみを手に入れます。夢に黒い熊が出てきて「このままでは君は会社をクビになる」と立花さんを脅します。「会社を追い出されるのは困る」と立花さんの思考が音をたてて回り始めるー。 ファンタジー色が強いので「ハラスメントの話は苦手だな」と思う方にも楽しんで読んで頂けると思います。
取材協力:クマ(@cumacuma_cuma)
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