人口減少で医療崩壊? 中小病院2600の生き残りをかけた現実と希望とは

人口減少で医療崩壊? 中小病院2600の生き残りをかけた現実と希望とは

公民格差の構造的問題——「根比べ」で先に倒れるのはどちらか

編集部

公立病院と民間病院の格差についてはどうお考えですか?

神野会長

全国の支部から必ず挙がるのが「公民格差の是正」という声です。政治家にも訴えていますが、構造的な問題であり、一朝一夕には解決できません。現状は、補助金を潤沢に受ける公立病院と我々民間病院が、いわば「根比べ」の状態にあります。どちらが先に持続不可能になるか、そんな不毛な競争を強いられているのが実情です。

公立病院のあり方には、どうしても政治的な要素が絡みます。市長や知事の意向が大きく影響するため、合理的な議論が難しい。極論すれば、財政破綻でもしない限り、この構造は変わらないかもしれません。

本来、補助金による補填のない民間で対応可能な医療サービスまで公立病院が担う必要があるのか、この根本的な問いに、社会全体で向き合う時期に来ています。

編集部

中小民間病院の役割とは何でしょうか?

神野会長

数の上では、日本の病院の約7割が民間病院です。「これを全て潰して本当に良いのか」という問いかけが必要です。病院と診療所の決定的な違いは入院機能の有無です。20床以上の入院機能を持つ病院は、地域にとって不可欠な「駆け込み寺」なのです。

編集部

具体的にはどんな場面で必要になるのでしょうか?

神野会長

例えば、激しい腰痛で動けない患者さんですね。「家で安静に」と言われても、食事も入浴も、排泄さえ困難です。そんな時、1〜2日でも入院できる場所があれば、心強いと思います。

また、風邪をこじらせて軽い肺炎になった患者さんにも必要でしょう。点滴のために1日3回通院するのは現実的ではありません。3〜4日の入院で集中的に治療を受けられる環境が必要なのです。

編集部

在宅医療の限界もあるということですね。

神野会長

まさにその通りです。在宅医療を継続するためにも、それをバックアップする入院機能は不可欠です。この役割こそ、地域に根ざした中小民間病院の存在意義だと考えています。

共同購入で年間数千万円削減—— 日本ホスピタルアライアンスの実践

編集部

コスト削減の具体策について、伺ってもよろしいでしょうか?

神野会長

コスト削減は喫緊の課題です。医薬品や医療材料だけでなく、電気の共同購入やコピー機、医療機器まで、あらゆる分野で共同購入の仕組みを構築しています。

私が立ち上げた日本ホスピタルアライアンス(NHA)という共同購入組織には、多くの病院が参加しています。現在は大規模病院が中心ですが、スケールメリットを生かした大幅なコスト削減を実現しています。

編集部

中小病院向けの仕組みもあるのですか?

神野会長

中小病院でも活用できる仕組みの構築を進めています。九州で中小病院向けのモデル事業を開始しており、成功すれば全国展開を検討します。

DX加算などの診療報酬を当てにする声もありますが、本質的な解決にはなりません。人手不足の時代、テクノロジーと共同購入による効率化こそが生き残りの鍵となります。

配信元: Medical DOC

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