さゆりは、子どもたちの前での優しい父親の姿を思い出し、離婚を拒否。「もう二度としない」という正勝の言葉を信じることに。しかし彼は、愛人との「区切り」をつけるため、1か月の猶予を要求。さゆりは不信感を抱きながらも、最後の猶予を与えてしまい…。
相手は風俗嬢…
「風俗で知り合ったってことは、お客さんとしてだけ付き合ってたってこと?」
「そう、だから個人的な連絡先は知らないし、続けるつもりなんてなかったんだよ」
私はこのとき、まだ正勝を信じたい思いでいました。昔働いていた職場の同僚との会話でも「プロ相手に遊んでるだけなら許す」という人がいた記憶もあり、私もそう思えば楽になれるような気さえしていました。
なんとか家族としての形を保ちたい、その一心だったのかもしれません。
子どもたちにとってはいい父親
でも、正勝が長女のみちるを抱き上げるとき、次女のみゆに絵本を読んであげるときの、あの優しい眼差しを思い出すと、どうしても「離婚」という言葉を口に出せませんでした。子どもたちの前では、彼は本当に最高の父親なんです。
「離婚はしたくない。お願いだから、もう二度としないでね」
私のその言葉に、正勝は一瞬ホッとしたような、安堵の表情を見せました。
「ありがとう、さゆり。もう二度としない。誓うよ」
正勝は私の手を取りました。しかし、すぐに彼はまた目を泳がせ、続けました。
「ただ、一つだけ頼みがあって…」
その頼みは、私には到底理解できないものでした。

