「男は8割方金目当て」大久保佳代子さん「財産持ってかれないのは事実婚」ってホント?

「男は8割方金目当て」大久保佳代子さん「財産持ってかれないのは事実婚」ってホント?

●財産がパートナーに「持っていかれない」ためにできること

以上のように、法律婚と事実婚とで、法的に厳密にみれば、財産管理について差はないものの、事実上法律婚の方が事実婚よりも財産を共有する方向に働く傾向はあるように思います。

いずれにしても、ご自身の財産を守るために最も有効な対策は、パートナーと結婚する前に、夫婦の財産の管理や分与について、自分たちでルールを定める「夫婦財産契約」を締結することでしょう(民法第755条)。

手続きとしては、法律婚の場合、婚姻前に契約書を作成する必要があり、登記をすると、第三者にも対抗できるようになります(民法第756条)。

事実婚の場合でも、夫婦財産契約の締結は可能とされていますが、法律婚の場合と異なり登記ができないため、証拠として確実に残すことを重視するのであれば、公正証書として作成することになるでしょう。

また、結婚前の財産が特有財産であることを明確にするため、財産の種類や金額、取得日などを記録し、客観的な証拠を保管しておくことも大切です。

さらに、結婚後も、自身の特有財産と共同で築く財産を明確に分けて管理し、その状況を記録しておくとよいでしょう。たとえば、それぞれの名義の口座を使い分けたり、生活費の負担割合なども明確にしておくといった対策が考えられます。

●対策を講じることで関係がギクシャクしないか

もっとも、こうした対策を厳密に進めようとすると、パートナーに「自分は信頼されていないのか」と感じさせてしまい、かえって関係に亀裂が入ることを心配される方も多いでしょう。

たしかに、結婚前に財産契約を持ち出すことには、ためらいを感じる方が少なくありません。ただ、お互いの財産を明確にしておくことは、必ずしも「疑っている」という意味ではありません。むしろ、「それぞれが築いてきたものを尊重し合う」「お互いの経済的自立を大切にする」という前向きな考え方として捉えることもできます。

パートナーとの話し合いの際には、「疑っているから」ではなく、「お互いが安心して関係を築くため」「将来のトラブルを避けるため」という観点から、前向きに提案してみるのも一つの方法でしょう。

また、すべてをガチガチに固める必要はありません。たとえば、「結婚前の財産だけは記録を残しておく」「それぞれの口座は残しつつ、生活費用の共同口座も作る」など、柔軟な対応を考えることで、関係を保ちながら一定の安心も得られるかもしれません。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

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