「ノロウイルスに特効薬」はある?治療で使用される薬についても解説!【医師監修】

「ノロウイルスに特効薬」はある?治療で使用される薬についても解説!【医師監修】

ノロウイルスは、食中毒や感染性胃腸炎の原因となるウイルスです。1年を通して発生しますが、特に冬季に流行しやすく、感染すると激しい下痢や吐き気などのつらい症状を引き起こします。感染力がとても強く、家庭や施設で大流行することもあります。

ノロウイルスに感染すると、どのような治療を受けられるのでしょうか。この記事では、ノロウイルス感染症の治療薬や、自宅で行えるケアの方法を解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

ノロウイルスの特効薬

ノロウイルスの特効薬

ノロウイルス感染症に特効薬はありますか?

残念ながら、現在のところノロウイルス感染症に対する特効薬はありません。
インフルエンザにはオセルタミビルリン酸塩やザナミビル水和物、新型コロナウイルスにはエンシトレルビルフマル酸やモルヌピラビルといった抗ウイルス薬が存在します。これらの薬は、ウイルスの増殖を抑えることで症状を軽減し、回復を早める効果があります。

ノロウイルスに対しても、約半世紀にわたって特効薬の開発が試みられてきました。しかし、ノロウイルスは培養がとても難しく、研究が思うように進みませんでした。近年になって、いくつかの研究施設で培養に成功したという報告はありますが、実用的な抗ウイルス薬の開発には至っていません。

参照:『ヒトノロウイルスの in vitro 培養系』(ウイルス 第 73 巻 第 1 号,pp.9-16,2023)

ノロウイルス感染症の発症を防ぐ薬はありますか?

特効薬と同様に、ノロウイルス感染症の発症を予防する薬は現在ありません。現在も開発が続けられていますが、実用化にはいたっていません。

ノロウイルスへの感染を防ぐ予防注射や薬はありますか?

予防注射には、感染予防と発症予防の目的があります。ノロウイルスに関しては、発症予防の薬も感染を防ぐ予防注射や薬もありません。そのため、感染を防ぐためには、日々の生活で以下のような対策が有効です。

調理前やトイレ使用後の手洗いを徹底する

食材の中心部を85〜90度以上の温度で90秒間以上加熱する

吐瀉物や排泄物の処理には手袋やマスクを使用する

消毒には次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水を使用する

こうした対策により感染リスクを下げることができます。

ノロウイルス感染症の治療で使用される薬

ノロウイルス感染症の治療で使用される薬

ノロウイルス感染症による吐き気にはどのような薬が用いられますか?

ノロウイルス感染症では、激しい吐き気や嘔吐に苦しむことが多いです。この症状を和らげるために、制吐剤(吐き気止め)が処方されることがあります。

よく使用される薬には、プリンペラン(メトクロプラミド)やナウゼリン(ドンペリドン)があります。これらは、脳内で吐き気を感じるセンサーの働きを抑えることで、症状を軽減します。また、胃腸の動きを改善する効果もあるため、食べ物の消化を助ける働きも期待できます。

ただし、これらの薬(特にプリンペラン)には副作用もあります。まれに手足の震えや動きにくさといったパーキンソン病のような症状や、不整脈が現れることがあります。医師の指示にしたがって適切に使用しましょう。

ノロウイルス感染症の下痢に有効な薬を教えてください

ノロウイルス感染症の下痢に対して有効なエビデンスのある薬はありません。ノロウイルス感染症は通常1~2日で症状のピークを迎え、その後は自然に回復に向かいます。薬を使わなくても身体の免疫力で治っていく病気です。

ただし、症状がつらい場合には、対症療法として整腸剤や漢方薬(五苓散、柴苓湯、桂枝加芍薬湯など)を使用することがあります。

ノロウイルスの下痢に対する治療として重要なことは、下痢止めは使用しないことです。下痢は身体がウイルスを外に出そうとする大切な反応です。下痢を止めてしまうと、ウイルスが体内に留まり、かえって回復が遅れる可能性があります。

ノロウイルス感染症による発熱は薬で下げることができますか?

はい、ノロウイルス感染症で出た熱は、適切な解熱剤を使用することで下げることができます。解熱剤には主に以下の2種類があります。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

アセトアミノフェン

発熱のメカニズムとしては、体内に侵入したノロウイルスを排除しようとする免疫機構が関係しています。ウイルスを排除する過程でサイトカインという物質が放出され、これがPGE2(プロスタグランジンE2)という物質を作ります。このPGE2が脳の視床下部に「体温を上げて!」という指示を出すため、発熱が起こります。
NSAIDsはこのPGE2を減少させることで解熱作用をもたらします。アセトアミノフェンにも解熱作用がありますが、機序は解明されていません。

配信元: Medical DOC

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