踏み出した矢先の暗雲
しかし、ここから話は一気に複雑になります。ミオさんは私たちの仮想通貨をよくわからないアプリに送金するよう指示してきたのです。
『さて、ここからがノウハウです。皆さんが購入された仮想通貨を、私が指定する「運用専門アプリ」に送金しましょう。これが私の投資成功の秘密なんです』
ミオさんが送ってきたのは、聞いたこともない海外の仮想通貨運用アプリでした。
「え、これって、どうやるの?なんか難しそう…」
アプリの文字は全て英語。翻訳機能を使ってもチンプンカンプンです。ミオさんは「慣れれば大丈夫」と操作手順の画像とテキストを送ってきました。
私はそのアプリのことを調べもせず、妄信していたミオさんの指示通りに「運用アプリ」へ送金しました。操作が終わると、自分が開設した口座の残高は「ゼロ」になりました。
「これで、自動で運用してくれるんだよね…?」
そこで、私はふと立ち止まりました。このアプリ、解約の仕方が全くわからない。どこにも日本語のサポート窓口もない。もし、すぐに現金に戻したくなったらどうするんだろう?不安になり、ミオさんにDMを送りました。
『送金できました!ところで、もし途中で解約したい場合、どうすればいいですか?』
画面に表示されたのは、「既読」の文字。しかし、そこから何時間待っても、ミオさんからの返信はありませんでした。
あとがき:『小さな一歩』が導く、絶望のゼロ
「たった10万円」という小さな数字が、理性を麻痺させる魔法の言葉でした。全財産ではないという安心感が、冷静な判断力を奪ってしまうのです。本話では、見知らぬ海外アプリ、複雑な送金手続きといった、詐欺の具体的な手口を描写しました。手続きの煩雑さが、被害者に「これは専門的なものだ」と誤解させる効果を持つのです。送金後に残高がゼロになった事実と、ミオからの返信が途絶えた「既読」の文字が、さつきの心を締め付ける不安の象徴となります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

