白血病の治療中には、化学療法の副作用や免疫力の低下により、食事管理が重要な役割を果たします。吐き気や食欲不振といった消化器症状への対応や、感染症予防のための衛生的な食品選択が求められます。適切な栄養摂取を維持することが治療の成功と体力の維持につながるため、個々の状態に応じた工夫が必要です。ここでは治療中の食事管理について、具体的な注意点とともに詳しく解説します。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
白血病治療中の食事管理
白血病と診断され治療を受ける際には、食事管理が治療の成功と合併症予防に重要な役割を果たす可能性があります。治療時期や身体状態に応じた適切な栄養管理が求められます。
化学療法中の栄養摂取
化学療法は白血病細胞を攻撃する一方で、正常な細胞にも影響を及ぼし、消化器症状を引き起こすことがあります。吐き気、嘔吐、食欲不振、味覚の変化、口内炎などにより、十分な栄養摂取が困難になる患者さんも少なくありません。しかし、治療を乗り切るためには、エネルギーやタンパク質を適切に摂取し、体力と免疫機能を維持することが重要とされています。
食事は無理に大量に摂取しようとせず、少量ずつ頻回に分けて食べる方法が有効な場合があります。食べやすい温度や形態に調整し、好みに合わせて味付けを工夫することで、摂取量を増やせる場合があります。高エネルギー・高タンパクの栄養補助食品も、通常の食事で不足する栄養を補う手段として活用されます。
口内炎がある場合は、刺激の少ない柔らかい食品を選び、酸味や塩味の強いものは避けることが推奨されます。とろみをつけた食品は飲み込みやすく、栄養摂取を助ける可能性があります。水分補給も重要で、脱水を防ぐために少量ずつこまめに水分を摂取することが推奨されます。
免疫力低下時の食品対応
白血病治療中は白血球数が著しく減少し、感染症にかかりやすい状態になる場合があります。この時期には、食品由来の感染を防ぐため「低菌食(neutropenic diet)」と呼ばれる衛生的な食事管理が推奨されることがあります。生肉や生魚などは避け、十分に加熱した食品を選ぶことが望ましいです。
生野菜や果物も細菌やカビが付着している可能性があるため、好中球数が極端に低い時期には避けるよう指導される場合があります。食べる際は流水でよく洗い、皮をむける果物は皮をむいてから摂取します。調理器具や食器は清潔に保ち、こまめに洗浄・消毒することが推奨されます。
外食や市販の惣菜は、製造工程や保存状態が不明確なため、免疫力が低下している期間は控えることが望ましいとされます。家庭で調理する際も、手洗いを徹底し、生食材と加熱済み食材の調理器具を分けるなど、衛生管理を徹底することが感染予防につながる可能性があります。管理栄養士による個別の栄養指導を受けることで、治療時期や身体状態に応じた適切な食事管理が可能になります。
まとめ
白血病は早期発見と適切な治療により、寛解や長期生存が期待できる疾患となっています。疲労感、発熱、出血傾向などの症状が続く場合は、速やかに血液内科を受診することが重要です。ただし、これらの症状は他の疾患でも現れるため、過度に不安を感じる必要はありません。気になる症状が続く場合は、医療機関での相談をおすすめします。
定期的な健康診断を受け、血液検査の異常を見逃さないことも、早期発見につながる可能性があります。白血病について正しい知識を持ち、自身の身体の変化に注意を払うことで、適切なタイミングで医療機関を受診し、より良い治療成績を得ることが可能になる場合があります。
気になる症状がある場合や、リスク要因を持つ方は、定期的に医療機関で相談されることをおすすめします。
参考文献
厚生労働省「がん対策情報」
