オーバードーズを繰り返すうちに、身体的・精神的な依存が形成されることがあります。薬物への耐性が形成され、同じ効果を得るために用量が増加していく過程や、離脱症状によって薬物使用を続けてしまう悪循環について理解することが重要です。ここでは、依存症が成立するメカニズムを詳しく解説します。

監修医師:
日浦 悠斗(医師)
福井大学医学部卒業。血清蛋白質と精神疾患の関係について研究をおこなう。日本精神科学会専門医。
オーバードーズの依存性形成メカニズム
オーバードーズを繰り返すうちに、身体的・精神的な依存が形成される場合があります。このセクションでは、依存症が成立するメカニズムについて解説します。
耐性の形成と用量の増加
薬物を繰り返し使用すると、身体がその薬物に慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量が必要になることがあります。これを耐性の形成と呼びます。耐性は薬物の代謝速度が上がることや、受容体の感受性が低下することによって生じます。特にベンゾジアゼピン系薬剤やオピオイド系薬剤では耐性が形成されやすく、使用開始から短期間で用量が増加していく場合があります。
市販薬の場合も同様です。初期は数錠から始まった過量摂取が、次第に数十錠、百錠以上へとエスカレートしていくことがあります。多くの患者さんは「もうやめなければ」と思いながらも、求める効果が得られないために用量を増やし続けます。この段階では、すでに身体的依存が形成されており、自分の意志だけでは中止することが困難になっている場合があります。
耐性の形成は不均等に起こることにも注意が必要です。例えば、睡眠薬の鎮静作用には耐性が形成されやすい一方で、呼吸抑制作用には耐性ができにくいという特徴があります。そのため、より強い効果を求めて用量を増やした結果、呼吸停止などの致死的な副作用が突然現れる危険性があります。
身体依存と離脱症状
身体依存が形成されると、薬物を中断した際に離脱症状が現れる場合があります。離脱症状は、身体が薬物のない状態に適応できず、さまざまな不快な症状を引き起こす現象です。症状の内容は薬物の種類によって異なりますが、不安、焦燥感、発汗、振戦(手の震え)、不眠、頭痛、筋肉痛などが一般的です。
ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状は特に注意が必要です。急激に中断すると、重度の不安や焦燥感に加えて、痙攣発作や意識障害を引き起こすことがあります。これらの症状は生命を脅かす可能性があるため、専門医の管理下で徐々に減量していく必要があります。
離脱症状の苦痛を避けるために、再び薬物を使用してしまうという悪循環が依存症の特徴です。患者さんは「薬物をやめると体調が悪くなる」と感じ、薬物なしでは正常な状態を保てないと認識します。このような負の強化によって、薬物使用行動がさらに強固になっていく場合があります。離脱症状は数日から数週間続くこともあり、この期間を乗り越えることが回復への重要なステップとなります。
まとめ
オーバードーズは市販薬や処方薬を過量摂取する行為で、身体・精神の両面に深刻な影響を及ぼす可能性があります。治療には身体管理、離脱症状への対応、認知行動療法などの心理社会的アプローチが必要です。精神保健福祉センターや依存症外来など、専門的な相談先を活用し、早期に適切な支援を受けることが回復への鍵となります。
オーバードーズに関する悩みや不安がある場合は、一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡してください。適切な支援を受けることで、回復への道を歩むことができます。
参考文献
厚生労働省:薬物乱用防止に関する情報
国立精神・神経医療研究センター:薬物依存症について
精神保健福祉センター:依存症相談窓口

