オーバードーズからの回復には、身体的・精神的な両面からの包括的な治療が必要です。急性期の生命維持と身体の安定化から始まり、離脱症状の管理、そして依存からの脱却へと段階的に進めていきます。ここでは、具体的な治療方法について解説します。

監修医師:
日浦 悠斗(医師)
福井大学医学部卒業。血清蛋白質と精神疾患の関係について研究をおこなう。日本精神科学会専門医。
オーバードーズの治療アプローチ
オーバードーズからの回復には、身体的・精神的な両面からの治療が必要です。ここでは、具体的な治療方法について解説します。
急性期の医学的管理
オーバードーズ直後の急性期には、まず生命の維持と身体の安定化が優先されます。救急搬送された患者さんに対しては、バイタルサイン(呼吸、脈拍、血圧、体温、意識レベル)の確認と安定化が行われます。意識レベルが低下している場合は気道確保が必要であり、必要に応じて人工呼吸管理が実施されます。
摂取した薬物の種類と量を特定することも重要です。可能であれば、患者さんや家族から情報を得ます。また、血液検査や尿検査によって薬物濃度を測定し、臓器障害の程度を評価します。肝機能や腎機能、電解質バランスなどを確認し、必要に応じて対症療法が行われます。
薬物の吸収を減らすために、活性炭の投与が行われることがあります。活性炭は胃腸内で薬物を吸着し、体内への吸収を抑制します。ただし、摂取から時間が経過している場合や、意識レベルが低下している場合は誤嚥のリスクがあるため実施できません。特定の薬物に対しては、解毒薬や拮抗薬が使用されます。
離脱症状の管理と身体依存からの脱却
身体依存が形成されている場合、薬物の急激な中断は危険です。そのため、専門医の管理下で計画的に減量していく方法が取られます。これを漸減法と呼びます。患者さんの状態に応じて減量速度を調整し、離脱症状が強く現れないように配慮します。一般的には数週間から数ヶ月かけて徐々に用量を減らしていきますが、減量のペースは個人差が大きく、患者さんの耐性や基礎疾患、心理状態などによって調整されます。
離脱症状が強い場合は、症状を緩和するための補助的な薬物療法が行われます。不安や不眠に対しては、依存性の低い薬剤が短期間使用されることがあります。また、自律神経症状(発汗、動悸など)に対しては、ベータ遮断薬やクロニジンといった薬剤が用いられることもあります。
入院治療が必要なケースもあります。特に重度の身体依存がある場合、他の精神疾患を合併している場合、自殺の危険性が高い場合などは、安全な環境で集中的に治療を受けることが望ましいとされます。入院期間は患者さんの状態によって異なりますが、数週間から数ヶ月程度が一般的です。入院中は、身体面の治療に加えて、精神療法やリハビリテーションプログラムも並行して実施されます。
まとめ
オーバードーズは市販薬や処方薬を過量摂取する行為で、身体・精神の両面に深刻な影響を及ぼす可能性があります。治療には身体管理、離脱症状への対応、認知行動療法などの心理社会的アプローチが必要です。精神保健福祉センターや依存症外来など、専門的な相談先を活用し、早期に適切な支援を受けることが回復への鍵となります。
オーバードーズに関する悩みや不安がある場合は、一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡してください。適切な支援を受けることで、回復への道を歩むことができます。
参考文献
厚生労働省:薬物乱用防止に関する情報
国立精神・神経医療研究センター:薬物依存症について
精神保健福祉センター:依存症相談窓口

