感情的な衝動を抑えられない明子は、過去に夫の不倫で離婚経験のある親友・渚に相談。渚は「感情的になったら負け。復讐は冷たい料理」と助言し、裁判で有利になるための決定的な「証拠集め」を最優先にするよう戦略を授けます。明子は冷静な行動を決意し、復讐の実行犯として一歩を踏み出す。
悲しみより湧き上がる怒り
不思議と涙は出ませんでした。泣いている暇などない。それよりも、体の奥底からマグマのように湧き上がってきたのは、強烈な怒りでした。
「ふざけないでよ。私とかずをなんだと思っているの?あいつの嘘のせいで…。私たちのこの1年間は一体何だったの?」
私は翌日、かずを幼稚園に送った後、すぐに親友の渚に電話をかけました。渚も私と同じ33歳。彼女は子どもはいないけれど、3年ほど前に、まさに夫の不倫が原因で離婚を経験しています。
だから、誰よりも私の気持ちを理解してくれるはずだと思いました。
親友に愚痴が止まらない
カフェで会うなり、私は事実をかいつまんで話しました。スマホのメッセージ、謙太の嘘、そして私の今の怒り。
「明子……大変だったね」
渚は余計なことを言わず、ただ私の手を強く握ってくれました。その手の温かさが、どれほど心強かったか。彼女の沈黙と表情が、「私も同じだった」と語っていました。
「本当はもう怒鳴り散らしたいのよ! なんで嘘ついたのって。今すぐにでもあいつのネクタイを締め上げたいくらい!」
私は声を荒げ、テーブルを叩きたい衝動を必死で抑えました。渚は静かにコーヒーを一口飲み、私を見据えて言いました。
「うん、わかる。私も最初はそうだった。でもね、明子。最初に感情的になったら負け。復讐は冷静になった方が勝つのよ。私に相談してきたってことは、ただ愚痴りたいだけじゃないでしょ?」

