有料配信で活動再開、吉本興業と松本人志さんに残る課題 「人権とビジネス」の観点から考える

有料配信で活動再開、吉本興業と松本人志さんに残る課題 「人権とビジネス」の観点から考える

「ダウンタウン」の松本人志さんが、11月1日開始のインターネット有料配信サービス「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」で活動を再開した。

2023年12月、松本さんに性的行為を迫られたとする女性の告発を『週刊文春』が掲載。これを受けて、2024年1月から活動を休止していた。報道をめぐっては、発行元の文藝春秋を相手に5億5000万円の損害賠償を求めて提訴したが、その後訴訟を取り下げている。

初回生配信で、松本さんはスタジオの観客から「おかえり」などの声や拍手を送られる中、「日本の笑いが最近しんどいと聞きまして。私、復活することにいたしました」と語った。

この「ダウンタウンプラス」は、松本さんの所属事務所である吉本興業が運営している。テレビ各局で松本さんの番組が終了する中で、有料配信という形での活動再開をどう捉えるべきか──。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長の伊藤和子弁護士は「ビジネスと人権」の観点から、松本さんと吉本興業の対応には依然として課題が残ると指摘する。

●「申し訳ない」と謝罪した相手

初回配信で松本さんは、訴訟について「話し合いで解決した」「裁判終わるまで今日から数えても多分2年ぐらいかかる。これ以上、みなさんを待たせられない」と説明した。

また、活動休止で迷惑をかけたとして、「申し訳ない」とお詫びの言葉を口にした相手は、芸人仲間や後輩、「穴を埋めてくれた人たち」、スタイリスト、メイク、ドライバー、そして相方の浜田雅功さんらだった。

●吉本興業「様々な事情を総合的に考慮・検討」

弁護士ドットコムニュースは、松本さんの活動再開に関する見解を吉本興業に問い合わせた。吉本興業からは、次の回答が届いた。

「弊社は、2024年1月に公表したとおり、当該事案について真摯に対応すべき問題と認識し、外部弁護士等による事実確認をはじめ、様々な対応をしてまいりました。コンプライアンス・人権に関する弊社の方針等については、これまで公表したとおりです。

そして、裁判の終結等様々な事情を総合的に考慮・検討し、外部弁護士らの意見聴取や外部有識者等で構成されるガバナンス委員会への報告等を経て、このたび、松本人志らによる新たなコンテンツを開始することとしたものです。

弊社は、既に公表したとおり、コンプライアンスの強化や人権尊重の周知に向けて、度重ねて研修を実施し、人権リスク等を踏まえた人権ポリシーを策定したほか、本年9月より『プロダクションマナービデオ』を導入するなど、様々な取組みを実行しています。今後とも、全ての社員及び所属タレントにおいてコンプライアンスの遵守及び人権の尊重が徹底されるよう努めてまいります。」

松本さんの活動再開について、伊藤和子弁護士に聞いた。

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