史上初、TVer2億回再生の“お化け番組”
人気バラエティー番組「水曜日のダウンタウン」(TBSテレビ系)に注目が集まっています。というのも、現代用語の基礎知識選「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」にて、同番組の人気企画「名探偵津田」で生み出されたお笑いコンビ・ダイアン津田篤宏さんの「長袖をください」というセリフと、「水ダウ」で大ブレークしたピン芸人ひょうろくさんがノミネートされたからです。2024年ノミネートのなかったお笑い界から2語も選ばれたことで、あらためて「水ダウ」の人気を証明することになりました。
この「水ダウ」ですが、番組名通りダウンタウンの冠番組として2014年4月にスタート。動画配信サービスのTVerでは、お気に入り登録数が678万人(2025年11月7日時点)となり、総再生回数が初めて2億回を超えた“お化け番組”として知られています。
普通のバラエティー番組にない奇想天外な企画で人気を集め、現在でも毎週のように視聴者を驚かせる内容を放送中です。まだ無名の芸人を抜てきする企画も多く、ひょうろくさんは2024年5月に「怪しい高額報酬バイト」に関するドッキリ企画で話題となり、2025年2月に放送した「ひょうろくとケンケンの冬休み」で大人気に。独特な雰囲気のキャラと優しい性格が評判を呼び、現在では俳優としても活躍するまでになりました。
また「名探偵津田」は、キレ芸を得意とする津田さんがロケの最中に事件に巻き込まれるドッキリ企画。無理やりミステリードラマの世界に連れ込まれ、理不尽な仕打ちを受けながら津田さんが事件を解決する姿がウケて大ヒットした企画です。
誰も思い付かない企画や人選をする「水ダウ」ですが、「徳川慶喜を生で見たことがある人 まだギリこの世にいる説」や「新元号を当てるまで脱出できない生活」などで、テレビ業界の権威ある賞・ギャラクシー賞をたびたび受賞。奇才と呼ばれるTBSの演出家・藤井健太郎さんを中心に、レベルの高いスタッフが作り出す斬新な企画で視聴者を熱狂させています。
そんな「水ダウ」は、攻め過ぎる企画が多いので、炎上騒動や警察沙汰も起こしています。警察沙汰で話題を集めたのは、2018年に恵比寿駅付近で起きた“連れ去り騒動”です。

警察出動、「不謹慎」批判・炎上した事例とは
同番組ではドッキリの一環としてお笑い芸人を連れ去ることがありますが、このときは現場を目撃した人から110番通報が相次ぎ警視庁が出動する騒動に。担当ディレクター二人が警察から厳重注意を受けたと報じられ、やり過ぎだとSNSで批判が集まりました。さらに同じ年の年末、東京都練馬区の「としまえん」で実施した生企画に多数の視聴者が集まり、周辺の道路が渋滞するなど110番が相次ぐ騒動を起こしています。
また、内容が不適切だと物議を醸し、SNSなどで炎上した企画はいくつもあります。2015年には、「ブックオフの福袋買うヤツどうかしてる説」という失礼な企画でおわび文を出し、2016年放送の「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」では、水戸市が内容に虚偽があったとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)に意見書を提出する騒ぎに。
その後も炎上騒ぎはたびたび起き、「テレビのロケが一度も来たことのない店、東京23区内にも探せばそこそこある説」が、飲食店に失礼だと批判されました。「コロナ対策、いまだに現役バリバリの現場があっても従わざるを得ない説」も批判を受け、ここ最近でもお笑いコンビ・インディアンスの改名ドッキリや、2025年8月に放送した「説教中でもやっぱり身の安全が第一説」も炎上の対象となっています。
こんなにも、称賛と批判が同時に集まるバラエティーは珍しく、唯一無二の番組として存在感を発揮している「水ダウ」。人気の理由は、10年以上にもわたって、“攻めの姿勢”を崩さないところです。これだけの人気番組になればおとなしい安全運転の企画にシフトしても不思議ではありませんが、変わらず過激で物議を醸す企画を作り続ける姿勢が視聴者から支持されています。
元気があった頃のテレビらしく、予算を掛けてぜいたくにふざけた企画を作る番組だからこそ、YouTube動画に負けず幅広い世代から人気を集めるのだと考えます。
そして今回の「流行語大賞」のノミネートによって、今後さらに視聴者から注目を集めるでしょう。守りに入らずにとがった面白い企画を放送し続けて、賛否両論を巻き起こしてくれることに期待します。
(ゆるま小林)
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